People Are Strange/The Doors

たまにしかかかってこないセールス電話で、ちょっと不愉快なことがあった。普段なら、「奥様ですか?」「違います!」「あ、失礼しました。お嬢様ですか?お母さんいらっしゃいますか?」「ここにはいませんけど。どちら様ですか?」「じゃ、また改めてかけ直しますので・・・」と、こんな間抜けな展開で終わるのだけれど、今回は違った。「奥様ですか?」「違います!」「奥様はいらっしゃらないんですか?」「そういう者はいません!」「え?そちらは普通のお宅じゃないんですか?」「は?『普通の』ってどういう意味ですか?」「いえ、あの・・・(ガシャッ!)」
別に取り立てて普通でありたいとは思わないけれど、あえてアウトサイダーになりたいわけでもない。それなのに、会ったこともない人に、こんな風に言われる筋合いはない。そういえば、オウム事件が世間を賑わせていた頃、近所の派出所の警官が、突然訪ねて来たことがある。普段の私は、届く予定のある宅配便と郵便物を受け取る時以外は、治安上、ドアを開けないことにしている。でも、警官が来たので夕刻過ぎにもかかわらず、無視せずに出た。名目上はあくまでも、「最近、治安が悪くなっているので見回りです。」と言っていた。だけど、どうも不自然だった。「念のため、こちらのお宅の家族構成をお伺いします。何か、不審なことがあれば、すぐに通報して下さい。」と言うものの、何となく、私を不審人物扱いしているような気がした。その時は、その程度の疑問しか感じなかったけれど、それからまもなく、家の近所でオウムのアジトが見つかり、指名手配の信者(有名な人ではなかったけど)が逮捕されたとわかり、初めて、自分が疑われていたことに気付いて苦笑した。客観的に考えてみると、私の住む建物のたいていの世帯は、少なくとも3〜4人暮らしで、お年寄りか子供が必ずいる。それなのに、そういう気配のまったくない、オウム信者(というか幹部連中)とほぼ同年代の人間が、家に籠って不規則な仕事をしていれば、多分、周囲の人に怪しまれたとしても仕方がない。ネット以前の時代だったので、今以上に、海外からの郵便物も多かった。我ながら、ますます怪しい。
でも、「普通」って一体何なのだろう?私は、法を犯しているわけでもなく、普通以上に「普通」の生活しているつもりだ。なのに、ほんの少しばかりライフ・スタイルが違うというだけで、異端視されるのは考えものだ。