The Day After Valentine's Day/Elliott Murphy

タイトル・ソング通り、昨日はヴァレンタイン・デイだった。残念ながら、誰にもチョコレートをあげたりはしなかったけれど。だから、たまたま、前から気になっていたチロル・チョコの話題を書くしかなかった。
初めてこの日の存在を知ったのは、小学校に入ったばかりの頃だった。某大手お菓子メーカーが、TVや雑誌でさり気なく紹介していたのを目ざとく見つけた。当時、クラスメイトでそれに気付いている子は、ほとんどいなかった。
そして、この日にまつわる甘酸っぱい思い出も皆無。手作りチョコに初めてチャレンジしたのもつい去年だったし、そのほとんどを自分で食べたのだから、あまり意味がない。
そもそも、いくら私が、食べ物絡みの年中行事には眼がないといっても、このように、本来の形ではなく、日本独自の歪んだ形式になっているのがどうも気に入らない。義理チョコなんて、もっての外だ。
そんな時、思い出すのがほんの数ヶ月ホームステイしていた時のこと。今思えば、ホームステイ先はちょっと複雑な環境だった。離婚歴のある30代半ばのスペインとトルコの血を引くエキゾティック美人のAudreyと、その息子で12歳のブロンド美少年Jason(現在、どうなっているのか、とても気になる!)。そして、彼女よりかなり歳下のインド系のボーイフレンドMarc(ドイツの血も混じっているので、本名はBismarck)が3人で暮らす家だった。このカップルは、お互い勝気な性格がよく似すぎていて、いつも言い争いが絶えなかった(結局、いつも折れるのはMarc)。ちょうどヴァレンタイン・デイの直前にも、2人は大喧嘩をしていた。でも当日の朝、Marcは出かける前に、画用紙を切り抜いて手作りしたクリスマス・ツリーにも似たヴァレンタインのオーナメントをこっそり飾っていた。そこには「Be My Valentine!」という決まり文句が書かれていた。アメリカでは、この日をそうやってお祝いするのだということを、その時改めて認識した。でも、Audreyは、それをゴミだと勘違いしたのか(それともわざとだったのか、今となっては謎だけれど)、ポイとクズかごに捨てていた。結局、まもなく2人は破局した。それからしばらくしたある日、彼女が、私よりさらに調子っぱずれな声で「It's Too Late」を歌っているのが聴こえてきた。どちらもお互いに相手のことが大好きな、お似合いのカップルだったのに、意地の張り合いとプライドだけで別れてしまうなんて・・・。