Easter?/Jefferson Airplane

よく考えると、この前の日曜日はイースター・サンデイだった。実家に帰れば仏壇もあるし、お寺にも行くけれど、私自身は特にどの宗教にも属していない(だからといって信仰心がないわけではなく、古代の自然崇拝のように、漠然とした神の存在なら信じる)ので、様々な宗教行事を、自分に都合の良いイヴェントのように考えてしまう。でも、イースターは、クリスマスやハロウィンほど日本ではイヴェント化していないので、海外の知人たちが話題にするまでほとんど忘れていた。滞米中、イースターが近付くと、どこでもお祭り騒ぎになっていた。休暇も始まる。お店には、イースター・エッグイースター・バニーをかたどった小物があふれ、カラフルそのもの。食玩でおなじみのチョコエッグの元祖とも言えそうなタマゴ型のチョコレートも、いたるところで見かけた。キリストの復活を祝う催しなので、おめでたいのは当然。でも、「部外者」には今ひとつピンとこなかった。
タイトル・ソングは、JA最後のスタジオ録音アルバムとなる『Long John Silver』に収録。前作『Bark』から自らのレーベル、グラント・レコードを設立し、オリジナル・メンバーのMartyが抜けたこともあり、ますますPaul & Grace色が濃くなっていた。この曲もまさにその1つで、ローマ法王キリスト教を皮肉っている。♪All I did last Easter, all I did, was paint some eggs♪という部分ならまだ軽い皮肉にすぎないけれど、後半の♪One man of peace dies, and a hundred wars begin. You keep murdering people in his christian name--I thought he said--I thought he said that was a sin♪となると、かなり批判的なメッセージといえる。
話が少しズレるけれど、イースター前からアメリカで大きな話題となっているのは、15年前に植物人間状態となったTerri Schiavoという女性を巡る騒ぎ。彼女の尊厳死を認め、栄養補給装置の管を抜く措置がフロリダ最高裁で決定され、実行されたにもかかわらず、Bushがそれを差止める議案を通過させ、キリスト教右派を中心としたデモや反発が起こっている。管を抜いた医師や病院の安全が脅かされているとも言われる。これに限らず、キリスト教右派の一部の人々は、これまでにも、人工妊娠中絶手術を施した医師を殺害したり、病院を焼討ちしたりさえしている。しかも全てが「人命尊重」の名の下で。これは何だかおかしい。宗教問題をこんなところで軽く述べるのは不適切だということぐらい、充分にわかっているけれど、何か釈然としない。