The Fool/Quicksilver Messenger Service

脱線事故の犠牲者はとうとう100名を超えてしまった。ご遺族の方々の怒りや悲しみがTVで報道されるたびに、感情移入しやすい私は、一緒になって怒ったり、涙ぐんだりしている。そんなご遺族の中で、特に注意を引いた女性がいた。母親を亡くしたというその人は、私が見た限りの映像の中で、誰よりも強い口調で、JR側の誠意のなさを訴えていた。あまりにも感情を荒げていたため、身内らしき人に、もう少し気を静めるように促されるほどだった。その悲痛な怒りは、その映像を見た者すべての心に大きなインパクトを与えたに違いない。
こんな大惨事の時に、不謹慎だとはわかっているけれど、あえて言う。その人は、思わず画面に釘付けになるほど美しい人だった。年齢は30歳前後だろうか。前にも書いたことがある通り、美に対して厳しい基準をもっていた父に、小さい頃からその基準を叩き込まれていたため、無意識のうちに、私自身も美にはこだわりをもつようになった。その結果、男女問わず美しい人を見るのが大好きとなっている。厳密に言うと、男性の場合、美しさ以外のポイントも考慮するので、その基準はかなり多様化する。でも、女性に関しては、本当にそれに値いする人にしか「美しい」という言葉を使いたくない。もちろん、私自身にその言葉が当てはまるわけがない。断じてありえない(これについては、子供の頃から父にはっきりと刷り込まれ、素直に納得している)。だからこそ、たとえ社交辞令であろうとも、私と同じような、ごく普通の容姿の女性たちに、その言葉が用いられるのを耳にすると、滑稽でたまらない(これは嫉妬でも何でもない。あくまでも美学上の問題)。と同時に、「美」が軽んじられることに対して、怒りすらおぼえる。
そういうわけで、私生活で、「美人」という言葉にふさわしい人を見かけることはめったにない。なのに、そんなめったにないことが、悲惨なニュースの中で起きるとは皮肉なものだ。もしも、こんな大惨事下ではなくて、ごくありふれた日常で、たまたま自分と同じ車両に彼女が乗っていたら、私はきっと、下車するまでずっと眺め続けるに違いない。
・・・と、ここまで書いておきながら、この話題はやはり不適切のような気がして、別のものに変えるべきか相当悩んだ。でも、平気でこんな不謹慎なコメントをするのもまた、私のバカな一面なので、隠さずに正直に書いておこう。
タイトル・ソングは、「バカ」にはもったいないほどきれいな曲。QMSでお気に入りの曲10曲を選ぶとすれば、文句なしにランク・インする。