IWishIKnewHowItWouldFeelToBeFree/Cold Blood

よく行く書店の古本\200均一コーナーで、ひときわ色あせた雑誌を見つけた。表紙はLed Zeppelin。『ヒットポップス』誌1970年6月号だった。当時、そんな雑誌が存在していたことは、ほとんど記憶にない。『ミュージック・ライフ』さえ、ごくたまに買う程度だった。まだほんの子供で、少ないお小遣いでせっせと映画館に通ったり、レコードを買っていた。雑誌までなかなか手が回らなかった。幸い『スクリーン』だけは、最初私が買ってきたのを映画好きの父が覗き見し、「こんなミーハー雑誌を買わずに、『キネマ旬報』を読みなさい!」と文句を言いつながらも、その後、毎月買ってくれるようになった。結局、父も楽しんでいたということだろう。
購入した『ヒットポップス』(発売元は学研!)は、「ロック・エイジのための音楽雑誌」というキャッチ・コピーがついているにもかかわらず、グラヴィアで紹介されるアーティストはポップス系やコーラス・グループが多い。Bobby ShermanやDaniele VidalやTom Jonesが出ていても、あまり面白くない。「華があるのは表紙だけ?」と思っていたら、Jethro Tullのカラー・グラヴィアを見つけて、何だかホッとした。カラフルなパンツに編み上げブーツ姿のIan Andersonは、オフ・ショットにもかかわらず、片足立ちでポーズをとっていた。
70年といえばウッドストックの翌年。日本でも、大規模な野外フェスティヴァルを!ということで企画され、結局、幻に終わった富士オデッセイの紹介記事も出ている。ほぼ確定している出演予定者としてJanis Joplin、Rolling Stones、The Band、Zep、CSN&Yなどの名が挙がっていた。そのラインナップを見ただけで、どう考えても現実味のないイヴェントだったことがわかる。結局、翌年、Pink Floydが出演して話題になった箱根アフロディーテが、日本で初めて海外アーティストも参加する大規模野外ロック・フェスティヴァルとなった。
Beatles遂に解散!」という記事もある。「Paul退団声明発表!」という見出しの下でいくつもの仮説が展開されていて、今読むとあまりピンとこない。
GFRの特集では、近年になってようやく、多くの出演バンドの音源が手に入るようになったAtlanta Pop FestivalやTexas International Pop Festivalについても、チラッとふれられている。
このように、たった\200で結構色々楽しめた。
また、Cold Bloodのデビュー・アルバムが紹介されているのが何とも渋い。タイトル・ソングは『フィルモア最後のコンサート』で初めて聴き、すぐに気に入った。