旧約聖書/The Adams

私にはちょっと珍しく『Lilith Fair』のDVDを見た。数年前のものなので「何を今さら」と言われても仕方がない。今でこそ、女性アーティストもそれなりに色々聴くようにしているけれど、それまでは、つい後回しにしがちだった。ネット上で初めてLilith Fairという名前を眼にした時も、てっきり、ソロ・アーティスト名だと勘違いし、それ以上知りたいとも思わなかった。「Lilith」とは、実は、Adamの最初の妻だったということを、今頃知った。ギリシャ神話は詳しいけれど、旧約聖書の細部まではよく知らなかった。彼女はAdamとの間に対等の男女の関係を望んだにもかかわらず、それが受け入れられなかったために怒って彼のもとを飛び出していったという。ああ、何て素晴らしい!それなのに、それ以後、魔女や悪霊扱いされることが多いというのだから納得がいかない。それに、私はフェミニズムを多少かじっていて、まがりなりにもそれを実践しているつもりなのに、こんなエピソードすら知らなかったというのも自己嫌悪。
ちなみに、このフェスティヴァルは、その名が示す通り、男性アーティスト偏重の音楽業界に対する一種のメッセージの場として、Sarah McLachlanが中心となって企画されたという。彼女に賛同したビッグ・アーティストが集まっている。
フェミニズム云々と言っておきながら、私が女性アーティストを聴く場合、まずは声や歌い方、次にルックス!という歪んだ選び方が定番で、メッセージ性なんて二の次。いくら、歌詞が素晴らしくても、声やメロディに興味がわかなければ、聴く機会はほとんどない。そんな私が、このDVDを最後まで見ていられるかどうか、自信がなかった。でも、気がついたら見終わっていた。普段のステージとは違い、ほとんどノー・メイクや普段着姿で登場する人が多いのに驚いた(特に、Shawn Colvinの地味さに唖然!)けれど、みんな生き生きしていた。観客の大半が女性で、何となく70年代のフェミニスト集会のような気さえして圧倒された(そういう面ばかり目立つと、正直、ちょっとキツいけど)。それに、真剣に歌詞を聴き取りながら見ていたわけではない。それでも、Sheryl Crowが♪Are you strong enough to be my man?♪というフレーズを淡々と繰り返していたのが、とても印象に残っている。
さて、タイトル・ソングを歌っていたアダムス(当時の表記)のことは、あまりよく知らない。たまたま何度か、TVでこの曲をやっていたのを覚えているくらい。GSに関しては、私は珍しく王道派だった。小学生だったので無理もない。