Saturday Sun/Nick Drake

私には色々なフェチがあり、中でも、「声フェチ」や「指フェチ」については、よく公言している。これまで、さほど大っぴらにしたことがないものの中に「色フェチ」、いや、「色彩フェチ」というのがある。文字通り、好きな色やきれいな色の組み合わせを見ているだけで、気分がハイになるのだから、実に幸せな体質だと思う。好きな画家も、色遣いのきれいな人が断然多い。
そんな私が、目下、仕事に追われる毎日の中、どうしても見たくてたまらないのが紅葉!ローカルの天気予報の後で、毎日、これでもか!これでもか!というように「紅葉情報」を見せつけられるのが、大きなストレスとなっている。せっかく京都に引越してきたというのに、どこにも行けないなんて・・・。
そういえば、春の桜は、毎年あまり意識しなくても、自然に眼に入ることが多い。ところが、秋の紅葉は、意識的に出かけないと、なかなか見ることができない。特に、私が一番見たいのは、文字通り、鮮やかに染まった「紅い葉」!物心ついて以来、もう何年も見た記憶がない。大阪に居た頃、御堂筋の眼の覚めるような黄色の銀杏並木は、もちろん、感動的に美しかった。でも、それ以上にあこがれるのが真っ赤な楓。赤茶色や赤錆色、柿色、煉瓦色では物足りない。もっと、もっと赤くなければ!
かといって、遠方の紅葉の名所に足を延ばすだけの時間的余裕は、今の私にはない。そこで向かったのは、自転車で15分ほど(この「自転車で○分」というのが、いつのまにか私の距離表示の定番)のところにある北白川疎水(琵琶湖疎水の分流?)。そこは、春は桜とつつじ、梅雨時は紫陽花、そして秋は紅葉が楽しめるという、穴場中の穴場。派手さもスケールも感じられないけれど、その分、鄙びた気分が味わえるのがまた良い。
あいにく、ややタイミングが早過ぎたようで、真っ赤になる少し前だった。その代わり、周囲の緑や黄色との微妙なコントラストを楽しむことができた。それだけでも充分だったけれど、帰りにさらに南下して下鴨神社に立ち寄ったら、こちらは、見頃にはほど遠かった。
さて、紅葉とは何の関係もなさそうなタイトル・ソング(一応、今日は土曜日とはいえ)だけれど、これが収録されているアルバムのタイトルは『Five Leaves Left』なので、かろうじてこじつけに成功?もちろん、実際に、枝に残っていた葉っぱは、5枚どころではなかったけれど・・・。そういえば、このアルバムで一番好きな曲は「Three Hours」で、本日、しばしの現実逃避時間も、ちょうど3時間ぐらいだった。