Have A Little Faith In Me/John Hiatt

またCDが届いた。今度はPentangleの『The Lost Broadcasts:1968-1972』とLeona Naess。でも、じっくり聴く前に優先しなければならないのは、返却日が迫っているDVDを見ること。『ムーンライト・マイル(Moonlight Mile)』はすでに見終わっていたが、もう1枚、『妹の恋人(Benny & Joon)』が残っていた。これは、Johnny Deppと最近、ちょっぴり気になり始めたAidan Quinnというまったく異なるタイプの2人が目当てで借りたものだった。ストーリーにはあえて触れないが、両者の魅力が存分に活かされた秀作だ。
ところで、映画を見る場合、『ムーンライト・マイル』のように、そこで使われる音楽が作品全体に大きな意味をもつことが最初から明らかで、見る側もそれを期待し、やや身構えて(「あの曲はどのシーンで流れるんだろう?」と、ドキドキしながら)臨むことともあれば、その逆に、何の前知識も先入観もないまま、気楽に画面を追うこともある。後者のような場合、自分にとって特別な意味のある曲が、予想もしないところでいきなり流れると、その曲に対する思い入れは一層深まり、同時に、映画そのものも、より身近に感じられるようになる。『妹の恋人』はまさにそうだった。数ヶ月前、どうしようもなく不安でたまらなかった時、親しい人から慰めの言葉の代わりに贈られたのが、今日のタイトル・ソング「Have A Little Faith In Me」だった。そして、その曲がこの映画の重要なシーンで流れてきたのだ。胸が詰まりそうになった。
ほんの数日前にも似たようなことがあった。偶然安く見つけたNeil Young出演のB級映画に、今は亡きWarren Zevonの曲が2曲も収められていたのだ。まさか!と自分の目と耳を疑った。しかも、音楽を総括するのは、その直後に見た『ムーンライト・マイル』の音楽担当者と同一人物だったのだ。冷静に考えると、いずれも、ただの偶然の重なりにすぎないのだろう。でも、そんな偶然にワクワクし、素直に大喜びできる子供じみた気持ちを捨て去るのは、当分、無理だと思うし、あえて捨てたいとも思わない。