Jelly Roll Baker Blues/憂歌団

明日からしばらく実家に帰るので、おみやげ用のパンを作った。といっても、ズボラな私が作るのだから、本格的なパンのはずがない。ホットケーキ・ミックス1袋に、プレイン・ヨーグルトとミルク、そしてお塩を少々混ぜて、パウンドケーキ型に入れて焼くという、超簡単な「パンもどき」にすぎない。ところが、これが意外にも評判が良い。特に父は、初めて失敗作を持って帰った時からお気に入りで、ほとんど独り占め状態なのだ(日頃から、何もできないと思っている娘の手作りだから、評価が甘いのかもしれないが)。さすがに、回数を重ねるうちに、だんだん見栄えもよくなり、今回は、これまでで最高の物が出来上がった。上にケシ粒なんかを散らしておくと、さらに本物っぽく見える。
それでパンにちなんだ曲を思い浮かべ、真っ先に浮かんだものをタイトルに選んだ(他にJames Cottonの「Baker Shop Boogie」なんていうのもあったけれど)。ごらんの通り、ブルーズ・ナンバーに多いわけだが、当然、実際にパンを焼く行為を歌っているわけがない。♪港が見える小さなパン屋、メリーという名の女が焼いてる甘くてすっぱい、メリーが焼いたジェリーロール♪という歌詞を見ただけで、曲の真意がすぐにわかるだろう。ちなみに、この「ジェリーロール」って、本来は、某大手メーカー商品でもおなじみの「スイスロール」を意味するらしいから、厳密に言えばパンのことではない。そもそも、今や、スラングの意味の方が浸透しているので、商品名に用いられることはありえないのだ。Jelly Roll Mortonを筆頭に、ステージ名に「Jelly Roll」を付けたブルーズ・メンも少なくないので、どうしても健全な食品イメージから遠ざかるのだろう。
ソング・タイトルではないが、歌詞の中にパンくずが出て印象的なのは、Rolling Stonesの「Jumping Jack Flash」の♪I frowned at the crumbs of a crust of bread♪というくだり。そういえば、Big Brother & Holding Companyの名作『Cheap Thrills』のジャケットが、カルトなイラストレーター、Robert Crumbのデザインであることは周知の事実。
あれ?両親へのおみやげの話題から、いつのまにこうなってしまったんだろう?でも、コーラス・グループBreadの話題が出ないのは、いかにも私らしいな。