Single By Choice/The Bangles

昨夜遅く、もうずいぶん前に終わっている人から電話があった。いきなり「結婚するの?」という質問。「何でそんなこと言うの?」と半ば唖然として聞き返したら、「今、そんな夢を見て飛び起きた」という答え。「誰と?」「知らない」
たかが夢ぐらいで、まったく人騒がせだ。確かにその人は、以前から霊感が強く、一緒に居る時に不思議な態度を見せることがよくあった。ある時、骨董品市で古い箪笥の前にさしかかると、私の足が急にガクガク震え始めた(私にも多少霊感があり、怪しい気配を感じるとすぐ足にくる)。「ここに居るとマズいの?」と尋ねると「何も言わず、早く離れた方がいい。」という返事だった。何かを察知したらしい。車の中で、いきなり呪文のようなものを唱え始め、「もう大丈夫だから」と言うことも何度もあった。だからといって、その人の夢が正夢になったという話は、今まで聞いたことがない。霊感と予知夢の能力はまったく別のものだと思う。
とはいうものの、何かひっかかる。確かに、これまでの私は、結婚願望なんて皆無で、何者にも束縛されず、自分の趣味や生活を優先させることの方が大切だった。その人や、それ以前の相手から、何度結婚を申し込まれても、何かピンとこなくていつもはぐらかしていた。一生誰かと一緒に居るなんて考えられず、タイトル・ソングのように、自ら好んで独身を通しているのだと信じ切っていた。でも、実は「Single By Chance」だったのかもしれないな、と最近思うようになった。つまり、これまでは、本当に好きでずっと一緒に居たいと思う人が「たまたま」いなかっただけのことではないのかと。そう感じるようになったのは、今、結婚はともかく、これまでとは違った気持ちを、ある人に抱くようになったからだ。何のかけひきもしないで、素直に自分の気持ちをさらけ出し、そばに居るだけでこんなにも幸せな気持ちになれるなんて、これまでの私には考えられなかった。その人となら、何年先もずっと付き合っていけたらいいなと思う。そういった私の気持ちの変化が、前の相手に伝わり、少し形を変えて夢の中に現れたのかもしれない。でも、皮肉なことに、今私がそういう気持ちを抱いている人は、私以上に束縛を嫌い、自分の生活を大切にする人だ。電話の件を伝えたら、あっけにとられていた。だから、前の相手が心配してわざわざ知らせてきた夢が、正夢になることは多分ないだろうな・・・。