Long Black Veil/The Chieftains w/h Mick J.

注文していたKaran Caseyの『The Winds Begin To Sing』が届いた。たまたま目にした『Mountain Stage』のライヴに彼女が出ていて、一目、いや一耳惚れしてしまったというわけだった。私の「声フェチ」は、女性シンガーについても当てはまるけれど、彼女の場合、一番好きなタイプの「頼りなさそうではかなげ」な、いわゆる「ウィスパー系」ではなく、もっと高音の美声と言える。にもかかわらず、その歌い方が、妙にかわいらしくて捨てがたい。たまたま歌っていたのが、(私にとって退屈な)きれいで、さわやかなメロディの曲ではなく、どこか野暮ったく、土臭いケルトサウンドだったからなおさらだ(ケルトサウンドすべてを「野暮ったい」と言っているわけではないので、誤解のないように。たまたま私の好きなのが「田舎」系ケルトサウンドだというだけのこと)。
驚いたのは、アイルランド出身の彼女が、ソロになる前に在籍していたのがアメリカン・アイリッシュ・バンドSolasだったという事実。実は、数日前にも書いた私のカスタム・メイドのラジオ局で、Pentangleファンによるお薦めバンドということで、Solasが紹介され、時々流れていたのだった。
未知のバンドだったにもかかわらず、いくつか気に入る曲もあった。後でわかったけれど、その時私が気に入ったSolasの曲は、すべてKaran在籍時のものだった。偶然というものは、やっぱり不思議だなあ。
さて、届いたCDに収められている曲のほとんどは、トラッドのアレンジだけれど、中に一曲だけ、Billie Holidayでおなじみの「Strange Fruit」が、意外なことに、何の違和感もなく混じっていた。
アイリッシュつながりとして選んだタイトル・ソングは、私が初めて買ったChieftainsのアルバムの中から。豪華なゲスト・ミュージシャン揃いのこのアルバムで、特に、一番好きなこの曲のヴォーカル担当は、なんとMick Jagger!だからこそ、買ったのだけれど・・・。
The Bandのヴァージョンで有名(Rick Dankoのヴォーカルが泣ける)なこの曲は、親友の奥さんと密会していたため、殺人事件の容疑のアリバイ証明ができず、無実のまま死刑になった男性のお墓を、相手の女性が黒いヴェールを被って夜毎訪れるという暗い内容だ。Mickが歌うと、シャレにならないかもね。
ちなみに、この曲、つい最近まで、アメリカの伝承バラッドだと信じ切っていたのに、実は今から50年ほど前、ナッシュヴィルのソングライターによって書かれたものだということを知り、ちょっと拍子抜けした。