Third Week In The Chelsea/Jefferson Airplane

Fさんの日記と掲示板にトップページができた。本格的なホームページの前段階のようで今後が楽しみ。そのトップに使われているのが、Linda Ronstadtが表紙の『Rolling Stone』。RSの表紙といえば、そのものずばりDr. Hook & The Medicine Showの「Cover Of The Rolling Stone」なんていう曲があった。バークリーの古本屋には、今ならきっとプレミアがついていそうな貴重なバックナンバーの多くが、たった25セントで売られていた。
Dr. Hookの脳天気な曲とは違い、もっとシリアスな形でRSが出てくるのはJAの「Third Week In The Chelsea」(『Bark』に収録)。このChelseaとは、ご存知、NYCのチェルシー・ホテルのことで、作ったのはJorma。ホテルに滞在中に彼が感じた虚無感や焦燥感が歌われている。最盛期のメンバーからMartyとSpencerが抜け、新メンバーと共に新しいレーベルから再出発したアルバムに、こんな曲が入っているのは不自然な気もするが、興味深い。以前からメンバー間の不仲説や分裂説が飛び交い、結局、それから1〜2年で、バンドとしての実体がなくなってしまうことを予言するかのような歌詞だから。いつのまにか自分らしい生活を捨てて、JAの一員として突っ走ってきたものの、ふと立ち止まって考えると、何かがおかしいことにやっと気付いたという内容だ。RSが出てくるのは「『ローリング・ストーン』に載っていたことが、現実に起こっているというのを、何とかしてわからせよう」という部分だけだが、それよりもっと核心を突いたことが、後から次々と出てくる。「ニューヨークの早朝、ホテルの廊下の鏡を覗いてみたら、そこにはまるで自分じゃないような顔が映っていた」ので「自室に戻り、ため息のような口笛を吹いた」とか、「こんな大成功したバンドを解散して、名声を台無しにするのは恥ずべきことだと、友人たちは口を揃えて言うけれど、ただわかるのは、オフの時に感じる充実感だけ。そこには空しさもないし、痛みを感じることもない」と続く。さらには「今後どうなるかは、みんなの予想通り。恋人と過ごす時間がなけりゃ、休息が必要ってことさ」&「もうこれ以上重荷を背負うことがいやになってきた」とまで言い切っている。一般的に評価の低いこのアルバムの中で、メロディと歌詞共に、飛びぬけて素晴らしい名曲といえる。
87年にソロで来日した時、リハーサルの前にこの曲をリクエストする手紙(恥ずかしくて、面と向かってしゃべれなかったので)を渡したら、本番前にそっと「あの曲、演るからね」と耳打ちしてくれた。