As Tears Go By/Marianne Faithfull

実家滞在を延長する必要がなかったので、夕方戻って来た。昨日も、私の役目は留守番だけで、ヒマをもて余していた。夜になって『帰らざる夜明け(La Veuve Couderc)』を見始めものの、TV局側の不手際で、最初の10分ぐらい見逃すことになってしまった。そんな不合理なトラブルはムカつく!
さて、Bonnie Raittの歌詞には感情移入できないと、昨日書いたばかりだが、この映画でも、Simone Signoret扮する初老の未亡人と、その姪で身持ちの軽い田舎娘役のOttavia Piccoloのどちらかに感情移入することは、とうてい無理な話だった。それで、私には珍しく、最後まで冷静に見ることができた(それにしても、この時のOttavia PiccoloってLinda Blairに似てる!)。
主役のAlain Delonは、小学生で初めて見た頃から、思わず息を呑む美しさだったけれど、すぐに冷めてしまった。美しければ美しいほど、ちょっとした仕草や表情で急に幻滅させられる。彼の場合、それは笑った時に見せる歯だった。薄い唇を固く閉じている時は実に美しく、眼にも鋭さが感じられる。が、歯を見せて笑ったとたん、すべてが台無しになる。ワイルドでセクシーな下品さには弱い私だが、軽薄で安っぽい下品さがにじみ出る人はどうも苦手だ。決定的となったのは『あの胸にもういちど(La Motocyclette)』だった。初めて見たのは、大学生の頃深夜のTV放映で。ラヴ・シーンが生々しすぎて耐えられなかった。良い意味でエロティックで官能的なものなら、見るのは好きだけれど、生々しいものはご免だ(今見直しても、多分同じように感じるはず。未だに少女趣味が抜け切らないから)!この時の相手役は、当時Mick Jaggerの恋人として有名だったMarianne Faithfull。ポスターに写った彼女は、ブロンドの髪に黒のレザーのジャンプスーツがよく似合い、中学生になったばかりの私のあこがれだった。タイトル・ソングは、1964年にMickとKeithが彼女にプレゼントしたもの。そのオリジナル・ヴァージョンではなく、すっかりガラガラ声になって再レコーディングした『Strange Weather』のアルバムに入っている方でぜひ!
言い忘れていたけれど、私が一番好きなAlain Delon作品は『若者のすべて(Rocco E I Suoi Fratelli)』。以下順不同で『さらば友よ(Adieu L'ami)』『太陽がいっぱい(Plein Soleil)』『冒険者たち(Les Aventuriers)』
文句を言いつつ、15本程度なら見ているってことだ。