Codine/Buffy Sainte-Marie

おととい少し触れたカンヌ映画祭の結果が発表された。パルム・ドール受賞作はMichael Moore監督の『華氏911(Fahrenheit 9/11)』。以前そのスピーチで話題になったアカデミー賞授賞式の時より、もっと素直に喜びを表わし、感極まっているようだった。この受賞により、アメリカ国内でも堂々(?)と上映されるはずだからいい気分だ。驚いたのは、最優秀男優賞が無名の日本人の男の子の手に渡ったこと。しかも史上最年少受賞という。審査委員長のQuentin Tarantinoが日本びいきだからとも言われているが、それを差し引いてもすごい(岩崎恭子の金メダルを、ふと思い出してしまった)。ところで、審査員はどういう基準で選ばれているのだろう?委員長はまだしも「え?こんな人が?」と思うような女優まで、審査員になっているのがどうも解せない。
一方、カンヌのお隣り、モナコで行なわれたF1グランプリでは、Jenson Buttonがわずかの差で惜しくも2位!でも、今季6戦中すでに4回も表彰台に上っているのはやはりお見事!当分目が離せない。
そのまま南仏の話題を強引に続けよう。ニースから西に移動すると、カマルグという自然に恵まれた地域がある。初めて知ったのは『フレンズ(Friends)』を見た時。一見現実離れしているようで、実は妙に生々しいストーリーは、受け入れ難かったけれど、舞台となったカマルグの自然の美しさ(特に、青い空と野生の白馬のコントラスト)はずっと心に残っていた。バックに流れるElton Johnもよかった。
アルルを拠点にして、Vincent Van Goghの絵そのままの糸杉をバスの窓から眺めながら、南下して着いたのはカマルグの入り口、サント・マリー・ド・ラ・メールという町。「海の聖マリアたち」という名前通り、3人のマリアが祀られた教会がある。その教会の屋根にこっそり上って、そこから彼方に広がる景色を味わうことにした。映画の中では気付かなかったけれど、実はカマルグは大湿原地帯だった。ある事情により、私はそういうところに近寄れないので、苦肉の策を講じたというわけだ。
ちなみに、この教会はジプシーの聖地とされていて、毎年お祭りの時期には、ヨーロッパ各地から何万というジプシーが集まるという。そういえば、Gipsy Kingsのライヴがこの教会から中継されているのを、TVで見たことがある。また、この町の名を目にするたびに、もう1人、必ず思い浮かべてしまう人がいる。そう、Buffy Sainte Marie。