What's Your Name/Lynyrd Skynyrd

私の欠点の1つに、物事を感覚的にしか捉えられないということがある。恐らく、私に一番似つかわしくないのは「理論的」という言葉だろう。たいていの場合、直感(場合によっては、霊感にも?)に頼って物事を判断してしまう。イメージ戦略にも弱いし、音の響きにも敏感だ。最初にそれを意識したのは、小学校に入った頃だった。すでにその頃から、カタカナの名前に過剰に反応していた私は、ある日父にこう尋ねられた。「ハインリッヒ(Heinrich)っていう名前をどう思う?」「王子様みたい!」うっとりと答える私。「それじゃヘンリー(Henry)は?」「太った王様みたいでイヤ!」「アンリ(Henri)は?」「子供っぽい!」単純すぎる私の反応を見かねた父はこう諭した。「国によって発音は違うけれど、全部同じ名前なんだよ。エンリコ(Enrico)やエンリケ(Enrique)もそう。」音によって作り上げられるイメージに左右されるのはナンセンスだということを、その時すでに学習したはずなのに、未だにそれを止められない自分が情けない。
多分、Jorma Kaukonenが好きな理由の少なくとも10%ぐらいは、そのエキゾティックな名前の響きにあると思う。彼のルーツを辿ってフィンランドまで行った時、まず最初にしたのは電話帳でKaukonen姓を調べることだった。バカバカしいとはわかっていたけれど、そうせずにはいられなかった。残念ながら、首都ヘルシンキでも同姓は見つからなかったけれど、散歩の途中で偶然「Jorma & Maria」という名のカフェを発見した。名前の主の老夫婦がきりもりしている小さなお店だった。店名の入ったマッチもなく、せいぜい看板の写真を撮ることしかできなかったけれど、それでも妙にうれしかった。後年、そのことをJorma本人に伝えたら、幾分あきれながらも笑っていた。
彼のように珍しい(といっても、あくまでもアメリカにおいての話。フィンランドではありふれている)名前は例外として(Keanuもいいけど!)、よくある名前で好きなのはNeilとKeith。特定の人を指すわけでなく、そのきれいな響きそのものが好き。HeathやPeterも悪くないので、多分、無意識に「イー」という音に惹かれるのだろう。
さて、いかにも不躾な感じがするタイトル・ソングは、案の定、ツアーの最中に拾ったグルーピーに向かって歌ったものだ。同様に、遠慮のないのがZombiesの「Time Of The Season」だろう。そこでは”What's your name?”だけに止まらず、”Who's your daddy? Is he rich like me?”と続く。そこまでズケズケと聞かれると、あきれて物も言えない。