Hurricane/Bob Dylan

6月としては最大級の台風が接近するというので、昨夜からそれなりに気には留めつつ、心の底では「どうせまた、はずれるんだろうな」と高をくくっていた。何しろここ数年、私の住んでいる地域はいつも台風コースからズレているのだから。案の定、今回もそうだった。でも、もっと南部の地域を中心に、かなりの被害が出たそうなので、喜んでばかりもいられない。ただ、今回の死者や行方不明者のほとんどが、自らの不注意が招いた結果なので、素直に同情する気にはなれない。高波を間近で見たいという気持ちは、少しは理解できるけれど、冬山登山同様、もっと「自己責任」意識をもって行動するべきだったと思う。
タイトル・ソングは、実際のハリケーンとは関係なく、実在した黒人ボクサー、Rubin 'Hurricane' Carterについて歌ったもので、大好きなアルバム『Desire』に収録されている。人種差別が絡んで、無実の殺人罪で投獄されていた人だ。後年、Denzel Washington主演で映画化されたので、すっかり有名になった。もちろん、映画の中でもこの曲が流れている。
一方、台風に隠れてほとんど話題にならなかったけれど、今日は夏至の日。梅雨時に夏至を迎える日本とは違い、ヨーロッパでは夏至祭りも開かれ、これから始まる夏への大きな期待が感じとれる。ジューン・ブライドというのも、梅雨のない国でこそ意味のあるもので、梅雨の最中の日本でもてはやされるのは、まったく無意味で無神経なこととしか思えない。
そういえば、Shakespeareの『真夏の夜の夢』は、原題がMidsummer Night's Dreamなので、いわゆる「真夏」ではなく「夏至の前夜」を指すのだと思う。私はストーリーさえろくに知らないのに、この舞台を見に行ったことがある。『いちご白書(Strawberry Statement)』以来大好きなBruce Davisonが、最前列で見られるというだけの理由で、当時住んでいたラグーナ・ビーチからロング・ビーチまで友人の車を走らせてもらった。共演はStockard Channing。一般には、『グリース(Grease)』のぽっちゃりとして怖そうなイメージしかないだろうけれど、舞台では、若い頃のElizabeth TaylorかGrace Slickを丸顔にしたみたいで、小柄できゃしゃでとてもキュートだった(なぜか、彼女の印象の方が強い)。 ただ、残念なことに、お客の入りはまばらで、それから1週間もしないうちに公演打ち切りとなった。早く見に行っておいてよかったと思う。