祭りのあと/よしだたくろう

祇園祭りが昨日で終わった。関西ではここ数日、夕方にオンエアされる各チャンネルの天気予報でさえ、お祭りの現場から中継されるほどの盛り上がりぶりだった。気象予報士とアシスタントが浴衣姿だというのは、言うまでもない。でも、私はこれまで一度も、これを生で見物したことがない。お祭りに限らず、「非日常的」イヴェントなら何でも大好きで、野次馬根性丸出しのタイプのくせに、見に行きたいと思ったことが一度もない理由はただ1つ。「人ごみが苦手!」だから・・・。しかも、よりにもよって、蒸し暑い京都で行なわれるのだから、ますます足が遠のいてしまう。
ところで、さすがに、タイトル・ソングには選ばなかったけれど、祇園といってまず浮かぶ曲は「祇園小唄」。実は、幼稚園の頃から小学校に上がるまで、日本舞踊を習っていた。いや、本当は、バレエを習いたかったのに、祖母が踊りの師匠と知り合いだったので、無理矢理習わされていたという方が正しい。発表会に出たこともある。そこで舞ったのが、この「祇園小唄」と「手習い草紙」だった。同い歳の2人の稽古仲間とお揃いであつらえた薄桃色の衣装を着せられ、この時が最初で最後の、信じられないほど白塗りのメイクを施されて舞台に立った。小1の時に祖母が亡くなったのを機に、苦痛だった稽古からあっさり解放されたけれど、もしそのまま続けていたら、もう少し立ち居振る舞いが上品になっていただろうか。
ただ、祖母がいなくなっても、母が和服好きだった(最近はそうでもないが)ため、私のためにあつらえてくれた着物も、箪笥の中にたくさん眠っている。そのほとんどに、袖を通したこともないまま・・・。浴衣も、色とりどり揃っている。でも、浴衣は一見涼しそうに見えるけれど、実際に着ると意外に暑い。それに、私は小柄でなで肩のため、一見、着物向き体型なのに、幸か不幸か、着物に必要なもう1つの条件、つまり、「ずん胴であること!」という最重要条件を満たしていないので、着る時に大変苦労する。身体の凹凸をなくすため、ウエストにタオルをグルグル巻かなくてはならない。かつて、晴れ着の着付けをしてもらった時には、さらに何重にも巻かれて苦しくてたまらなかった。
タイトル・ソングは、「吉田拓郎」ではなく、ひらがな表記だった頃のアルバム『元気です』に収録されている。日本のフォークの場合も、きれいなコーラスやハーモニーが売りのグループは苦手だったけれど、不協和音や、字余り(?)が目立つシンガーやグループならわりと好きだった。