Linda Paloma/Jackson Browne

Linda Ronstadtに関する大きなニュースが飛び込んできた。17日にラスヴェガスのホテルで行なわれたショーのアンコールで「Desperado」を歌う前に、彼女は、Michael Moore監督を「真実を伝える愛国者」と褒め称え、「誰もが『華氏911』を見るべき」とコメントしたようだ。その瞬間、ブーイングの嵐が起こり、観客の多くが会場からドッと立ち去った。中にはポスターを引き裂き、持っていたカクテルをぶちまける者もいたという。それに対し、ホテルの支配人は、ただちにLindaを警護付きで会場から立ち去らせ、宿泊中の部屋の荷物を彼女のツアー・バスまで運ばせた上、2度とそこでは歌わせないと言ったらしい。
この事件について、アメリカ国内ではさまざまな議論が沸いているようだ。私がこの情報を得た2400 Fulton MLでは、当然のことながら、彼女を支持する声が断然多い。会場のブーイングの嵐というのも、実は誇張で、半分ぐらいの観客は、拍手喝采したとも言われている。また、それまでのツアー会場でも、同様のコメントを述べていたので、この会場でも同様の発言は予測できたはずだという。なのに、こんな大問題になるとは、やはりラスヴェガスという地域(および、そこに集まる観客層)の特殊性のせいだろうか。
ホテル側は「お客を歌で楽しませてもらうために呼んだのに、政治的発言をするとは契約違反だ」とも言い、裁判問題にも発展しかねない勢いだ。
それにしても、この騒ぎにはちょっと驚いた。私の知る限り、Lindaは70年代においても、周囲のミュージシャン仲間に比べ、あまり政治的コメントをするようなタイプではなかったと思う。当時のカリフォルニア州知事Jerry Brownを囲む写真の中心に写っていたこともあるけれど、それは政治的意思表示というより、たまたま彼がLindaのボーイフレンドの1人にすぎなかったからだ。彼女の一連の恋愛遍歴の対象となった顔ぶれと比べると、このBrown知事との噂は、最初はジョークだと思っていたけれど、2人のアフリカ旅行の記事が『ニューズウィーク(『タイム』だったっけ?)』に出ているのを見た時は、さすがに信じざるを得なかった(それでも、Brownのゲイ疑惑のカモフラージュ説が残っていた)。
タイトル・ソングにあるPalomaとは♪I was the endless sky And you were my Mexican dove♪からもわかる通り「鳩」のこと。要するに、Lindaはタカ派ではなく、ハト派ということ?ワシは好きなのにね。