Linda Linda/The Blue Hearts

先日のLinda事件で、また続報が入った。現場となったアラディン・ホテルをまもなく買収することになっている「プラネット・ハリウッド」会長兼CEOは、自分が新オーナーになると、再びLindaをステージに呼び戻したいとコメントしているという。できれば、Michael Moore監督もゲストに呼んで、Lindaと一緒に「America The Beautiful」を歌わせたいとも言っている。いささかジョークめいたコメントだが、公式発表されたようだ。アーティストの言論の自由を、これまで1度も奪ったことはないという「プラネット・ハリウッド」側は、今回の事件をとても残念に思うと発表している。このように、アメリカでは「free speech」の精神が、恐らく、世界のどこよりも重視されている。特に60年代には、学生を中心としたFSM(Free Speech Movement)が盛んで、その運動やイヴェントに、ミュージシャンが参加することも多かった。個々の思想や信条を自由に発言する権利を求めるだけでなく、一方では、タブーとされている言葉を、公衆の面前で堂々と発することにまで広がっていった。Country Joeがステージ上で、観客に向かって「Give me an "F", give me a "U", give me a "C"...」と叫んでいたのでもおなじみだろう(ついでながら、意外に盲点となる文法講座:Fの前の冠詞は、"a"ではなく"an"が正解なので念のため。よく似た例として、The Policeの「Message In A Bottle」でも、ちゃんと♪I'll send an SOS to the world〜♪と歌われている。「エフ」も「エス」も、その発音は母音で始まるから)。それまでの固定観念や因習を打破するつもりで、あえて汚い言葉を発するという気持ちは理解できるけれど、そのことによって、不快な思いをする人がいるとすれば、それもまた問題だろう。基本的に、言論の自由は大いに守られるべきだと思うけれど、その境界線を引くのがとても厄介だ。そういえば、以前シスコで「Love Is A Four-letter Word」という、皮肉たっぷりのピンバッジを見つけた時、うれしくなってすぐに買った。しばらくどこに行く時もつけていたら、知らない人からも大受けした。
ちなみに、事件から3日後にLAで行なわれたコンサートで同じコメントをしたLindaは、大喝采を浴びたという。やはり、所変われば何とやら・・・。
ところで、タイトル・ソングはヒット・ナンバーだけれど、こんな風に、全面的にノリが良いだけの曲は、実はそれほど好きではない。