On The Beach/Chris Rea

ようやく重い腰を上げて、仕事に取りかかり始めたけれど、なかなかエンジンがかからない。いったん軌道に乗るとシメたもので、後はできる限り集中力を駆使して、何とかやり切ってしまう、というのがお決まりのパターンなのに、今回に限って、午後になってもいっこうにエンジン音が聞こえてこない。つまらない内容なのに、ストレスばかりたまるという、実に割に合わない仕事だ。安易に引き受けて後悔している。
しかも、ちょうど今日、仕事以外でどうしようもない事態に陥った。多分、これまで生じたいかなる出来事(身内の事故や病気などを除いて)よりもはるかに深刻な精神的ダメージを私に与えるもので、それに対して、もう少しのところで、重大な決心を下してしまうところだった。詳しい事情を書いても、結局、笑い話で終わりそうなので何も言わないけど。
こんな時には、気分を変えて、何か夏らしい話題を。でも、改めて考えみたところで、なかなか浮かんでこない。そもそも、友人同士で海や山でリゾート気分を満喫したことなんて一度もない。というより、これまで海で泳いだことさえ、ほんの数回しかない。足を汚さない程度に、浜辺を歩いたり、ただ海を眺めていただけの記憶の方がずっと多い。
ラグーナ・ビーチに居た頃のある日の夕方も、そんな風にして1人で浜辺のベンチに座っていた。するといきなり、”Why do you look so sad?”という声がした。きれいな夕陽をうっとりと眺めていただけなので、すぐさま”No! I'm NOT sad. I'm just watching the sunset...”と答えたら、ズーズーしくも隣りに座って、色々と話しかけてきた。その訛りがあまりにもひどいので、どこの国の人かと尋ねたら、オーストラリア人だった。自分の英語が訛っているという自覚はまったくなく、私に指摘されて初めて気付いたようだった。自称写真家でカメラも携えていたけれど、今となっては、はたしてそれがプロの持つものかどうか怪しかったと思う。その場で数枚と、さらに場所を変えた所で数枚撮ってくれた(「撮られた」というべき?)上、改めてスタジオで撮りたいと言って、電話番号と名刺らしきものをもらったような気がするけれど、すぐに捨ててしまった。素直に行っていたら、犯罪に巻き込まれていたかもしれない。考えすぎかもしれないけれど。
タイトル・ソングと同名異曲をNeil Youngも歌っている。でも、これに限っては、Neilよりこちらの方が好き。