Big River Blues/Jorma Kaukonen

何度か書いている通り、この1年の間にめっきりTVを見なくなった。ひと頃は、週に数本ぐらい見ていたドラマも、今や1本も見ていない。深夜番組時代から見ていた「鉄腕DASH」さえほとんど見ない。ましてや、1年間続く大河ドラマなんて見る気もしない。ところが、今日だけは違っていた。私は決して新撰組フリークではないし、最初にキャストが発表された時点で興味が失せていた。香取慎吾が力不足であることは、初めから明らかだったし、組の二大スターであるはずの土方歳三沖田総司は、どう見てもミスキャストだった(土方役は、まあそこそこやっているけれど、やはりイメージが違いすぎる。沖田役に至っては論外)。いくら、脇を芸達者や個性派で固めていたとしても、これではどうしようもない。不調と言われた昨年より、さらに視聴率が下がっているというのもやむをえない。にもかかわらず、あえて今日(実は先週も)見る気になったのは、1つの山場が放送されたから。その山場とは、総長の山南敬助が脱走し、見つかって最後に切腹するというもの。寒村から身売りされてきた、健気で屈託のない遊女明里を身請けするエピソードなども絡め、ドラマティックな仕上がりとなっている。それを演じるのが堺雅人鈴木砂羽という、派手さはないのに独特の存在感があり、さりげなくいい味を出す2人だということも、見逃せない大きな理由だった。始まってまもない頃から「うるうるモード」が全開で、気が付いたら顔をくしゃくしゃにして泣きじゃくっていた。実際に、自分の身に何か悲しい事が起こって号泣することなんかまっぴらだけれど、こんな風にドラマや映画を見て思いっきり泣くという行為は、一種のカタルシスとして大いに効果的だから、できることなら、定期的に泣いていたい。その証拠に、泣けば泣くほど、後ですっきりする。でも、最後の最後、一番重要なはずの切腹シーンで、白い裃をはだけて、露わになった上半身があまりにもきゃしゃすぎたので、急に涙が止まって冷ややかな眼になってしまった。この突然の気持ちの切り替えには、自分でも驚いた。もちろん、たかがそんなことで今回の感動が薄れるわけではないけれど、一瞬、冷めてしまったというのも隠せない事実だった。
で、何の関係もなさそうなタイトル・ソングだけれど、「大河」ドラマにひっかけた。グラミー賞にノミネートされた記念すべきアルバム『Blue Country Heart』に収録されている。