St.Charles/Jefferson Starship

最近CD購入を自粛していたけれど、今日、JSの3rdアルバム『Spitfire』のリマスター盤が届いた。期待していたボーナス・トラックはなかったものの、ライナーノーツがまたJeff Tamarkin氏なので、音を聴くより前にざっと目を通してみた。前作の『Red Octopus』が全米1位となったため、本作の制作にあたって、さまざまな葛藤や野心、それに意欲が混ざり合っていたようだ。その結果出来上がったものは、私個人的には、ポップ路線に進みかけた前作より何百倍も好きで、1stの『Dragon Fly』と共に、私にとってのJSのベスト・アルバムと言える。その理由は単純。私が求める「JSらしさ」が、特にこの2枚のアルバムに感じられるから。その中でも特に「St.Charles」はJSの最高傑作の1つだと信じている。ところが、ライナーにショッキングなエピソードが書かれていた。Earth,Wind & FireやCarpentersのジャケットでも有名な日本人イラストレーター、長岡秀星(クレジットでは「A」が抜けて「SHUSEI NAGOKA」となっている)が手がけた龍のイラストに、東洋風の女性の写真を組み合わせたジャケットが、発売当時話題になった。その女性は、欧米人のイメージするオリエンタル・ビューティそのもので、どうも私の苦手なタイプなのだけれど、わざわざ「Dragon Princess : Cassandra Gaviola」というクレジットまでされていた。で、今頃わかったショッキングなエピソードというのは、撮影に立ち会ったPaulが彼女に夢中になってしまい、あの名曲「St.Charles」を、あろうことか「Cassandra」に変えようとしたというものだった。もちろん、タイトルだけでなく、歌詞まで変わるので♪Oh, St.Charles〜♪と歌われる部分が、すべて♪Oh, Cassandra〜♪に歌い替えられるところだった。さすがに、誰かがPaulを説き伏せて、ようやく元に戻ったというが、ホントに危ないところだった。「Cassandra」では、曲のイメージがずいぶん変わり、あの曲に感じられる独特の格調も消え失せてしまう。ちなみに、彼女はその後女優になったそうで、Arnold Schwarzeneggerの『コナン・ザ・グレート(Conan The Barbarian)』やBruce Willisの『ラストマン・スタンディング(Last Man Standing)』といった作品にも顔を出していたという。ついでながら、プロデューサーのLarry Coxは、かつてはドラマーで、Buddy Hollyと一緒にやっていたこともあるという話を、今までずっと見落としていた。