Not Fade Away/The Band & The Crickets

涼しくなったせいで、昨夜は、いつもよりコオロギの鳴き声が冴え渡っていた。それで、ふとBuddy Holly & The Cricketsのことが浮かんできた。名前しか知らない頃は、他のR&Rの巨匠達と同じように、彼もまた押しが強くて攻撃的なタイプだと思っていた。ところが、たまたまLPを見かけて、ジャケット写真を目にした時、予想とはまったく違うその姿に唖然とした。押しが強いどころか、どちらかといえばフニャフニャと気弱そうな外見の彼は、いわゆる「ロックンローラー」のイメージとはほど遠い。でも、「声フェチ」と「指フェチ」に加え、「メガネ・フェチ」でもある(ついでに「匂いフェチ」も合わせて、私の「4大フェチ」が完成)私は、そのちょっぴり情けそうな姿が妙に気に入ってしまい、珍しく「ジャケット買い」してしまった。大学生の頃だった。
肝心の音楽の方は、それまでHot TunaやRolling Stones、Lindaらによるカヴァー曲を数曲知っていた程度だったけれど、初めて聴く曲も、良い意味でポップで聴きやすかった。ただ、「シャックリ唱法」とも言われ、多くのミュージシャンに影響を与えたというその歌い方は、その外見同様、想像していたよりずっと迫力がなく、情けなさそうに聴こえた。でも(というか、「だからこそ」というべきか)、それが私のツボにピタリとはまった。
タイトル・ソングは、96年に出た『Not Fade Away : Remembering Buddy Holly』というトリビュート・アルバムより。一番好きな曲でもあり、うれしいことに、お気に入りのミュージシャンのほとんどがこの曲をカヴァーしている。ここで選んだヴァージョンは、The Bandとクレジットされているものの、実質的には「Levon(リード・ヴォーカル)&Rick Danko(コーラス)」と書くべきで、バックには、生き残ったCricketsのメンバーが2人参加している。ところで、Buddy Hollyナンバーでお気に入りBest5を選ぶのはむずかしい。この「Not Fade Away」と「Well All Right」が入るのは確実だけれど、後は日替わり。今の気分で言うと、残る3曲は「It Doesn't Matter Any More」「Maybe Baby」「It's So Easy」あたりかな。でも、そうなると「Raining In My Heart」や「That'll Be The Day」、「Everyday」が洩れてしまうので困ってしまう。
それにしても、Buddyフリークの1人でもあるJormaは、その歌い方までかなり影響されているのがよくわかる。カヴァー・アルバムが出ないかな?