The Bears/Quicksilver Messenger Service

イチローの大記録達成の話題は少しおさまってきたのに、各地でクマ出没の話題はずっと続いている。この前の台風の影響で、エサとなる木の実が不足し、やむをえず民家周辺に下りてきたようだ。人間に追われた子グマが、必死で逃げ回っている姿を見ると、悪いのは一体どっちなんだろう、と悩んでしまう。そして、少し大きいクマたちは、容赦なく射殺される。確かに、出没地域に住む人々にとっては、毎日不安でたまらないのはわかるけれど、何かもっと平和的な対策はないものだろうか。山の中でクマに遭遇しないためには、わざと鈴を鳴らしたり、大声を出したりして、その存在を知らせ、そばに近寄らせないのが一番だというけれど、つまりそれは、クマもまた、人間を恐れているということを意味する。にもかかわらず、怖いはずの人間が多く住んでいる人里まで下りて来るということは、クマにとっては、相当なリスクを冒しているということになる。それでも、あえてそうせざるをえない状況に追い込まれているわけだから、気の毒というしかない。こう思うのは、牛なら平気で食べるけれど、クジラやイルカを殺すのはかわいそう!と言うおめでたい人たちと同レベルの発想だろうか。
タイトル・ソングはそのものズバリ!
数年前に発売された『Lost Gold & Silver』に収められている。私が一番好きな1stと2ndアルバムの頃(つまりNicky HopkinsもDino Valentiもまだいない)のライヴ音源や、未発表曲が収められた夢のようなアルバムだ。ネットを始める以前の情報不足の時期に、偶然、CDショップで見つけた時には、文字通り狂喜した。ただし、ライナーノーツにも書かれているように、この曲は、いわゆるQMSのイメージとはほど遠い。実際、Gary Duncanによると、自分達の子供に聞かせてやりたい童謡のつもりで取り上げたらしい。ちなみに、クマのように鼻を鳴らす音は、彼らとも親しかったNick Gravenitesが担当したという。それを知る前は、多分、David Freibergあたりだと思っていたけれど、Nickだと知って納得した。あの体型は、いかにもクマっぽい。
実は、最初、この曲はてっきり、Augustus Owsley Stanleyのことを歌っているのだと勘違いしていた。そのわりに軽快でコミカルな曲なので、ヘンだなと思っていた。彼は通称The Bear、あるいは単にOwsleyと呼ばれるアングラ化学者で、怪しげなクスリを作り、ベイエリアのミュージシャン達と親交が深かった。