Breathe/Pink Floyd

昨日の日記でまた反則してしまった。タイトル・ソングには、聴いたことのある曲しか選ばないという大原則を破って、日記の内容にふさわしいというだけの理由で、私らしくもない曲を、よりにもよって聴いたことのないヴァージョンで選んだのだから。素直に、Fresh Air/QMSあたりにしておけばよいものを、すでに1度使用済みなので無効。それなら、たまには冒険してみたくなった。おかげで、今頃こんなフォローが必要となる。白状すると、Holliesのヴァージョンさえ、『ヴァージン・スーサイズ(The Virgin Suicides)』の中で流れていたのを、何となく覚えている程度にすぎない。ちなみに、この作品の映像はとてもきれいだったけれど、自殺を美化するようなテーマは、どうにも受け容れがたい。監督のSofia Coppolaは、今年『ロスト・イン・トランスレーション(Lost In Translation)』でも話題になったけれど、これまた私好みの作品とは言えなかった(簡単に言えば「感覚が合わない」ということか)。
一方、Randy Vanwarmerについては、今年の初め、その訃報が取り上げられた時初めて名前を知ったというほど、その周辺の音楽事情について、私はまったくの門外漢だった。大ヒット曲だと言われる「Just When I Needed You Most」さえ、CMだか何だかで部分的に耳にしたことしかなかった。死後、初めてフルコーラス聴いて、何と暗くて悲惨な曲なんだろう!と思ったのに、日本では「アメリカン・モーニング」とやらのタイトルがついて、爽やかな曲として扱われていることを知り、あきれてしまった。さっさと荷物をまとめて、雨の中、ドアも閉めずに立ち去る彼女に対し、何も言えずに窓から眺めているだけ、という実に情けない曲の一体どこが爽やかなのだろう。伝統的なブルーズの歌詞とほとんど同じパターンではないか。しかも、一番必要としている時に、自分の前から居なくなるなんて、悲惨という以外の何物でもないだろう。Randy Vanwarmerの情けなさそうな声が、さらに惨めさを増幅している。まあ、こんな曲は、力強く歌われると場違いになる(そういえば、Paul Butterfieldヴァージョンも、何だかヘンだった)し、私自身、情けなさそうなヴォーカルはむしろ好きな方だけれど、曲のイメージやメロディだけで判断されて、歌詞の内容がまったく無視されるというのはどうかと思う。
で、今日のタイトル・ソングは無難な路線。これなら何のフォローも無用だ。