A Song For All Seasons/Jefferson Airplane

Jormaの日記に、最近手術を受けたSpencerのことが書かれていた。彼の体調が悪いことは知っていたものの、長い間連絡を取っていなかったので、手術が必要なほど重症だと知ったのは今年になってかららしい。数ヶ月前にTVドラマ『フレンズ』最終回のエンディングで「Embryonic Journey」がBGMとして取り上げられた時、Spencerからお祝いの電話がかかったことにいたく感激したようで、それ以来、携帯電話で近況報告し合っていたという。そして、これまで直接、本人に伝えたことはなかったけれど、自分の音楽人生において、Spencerがいかに重要な影響を与えたかということを、ぜひ知ってもらいたいと述べている。さらに、SpencerがJAに加わったおかげで、バンドに必要だったプロとしての心構えが、それまで以上に得られるようになったとも書いている。当時のJormaは、周囲から見ればそれなりの評価を受けていたにせよ、自分自身では、エレクトリック・ギターの腕前について、ほとんど自信がなかったらしい。そんな時、Spencerにいつも励まされ、自信を与えられたという。誰もがそう認めるように、Jormaも、JAの歴代のドラマーの中でSpencerの在籍していた時期こそ、JAが音楽的に最もクリエイティヴだったと認めている。彼が、SpencerやJackと行なった当時のジャム・セッションでは、まるで魔法のような化学作用が働いていたという。また、Spencerの鋭い感受性や、皮肉に満ちたユーモアのセンスは、当時よりむしろ今になってこそ、よく理解できるともいう。そして、「mensch」と言って讃えている。どうやら、これはJormaのユダヤ系のおばあさんが好んで用いた言葉のようで、「立派な人」、「一目置かれる人物」という意味だ。
SpencerがJAを辞めたいきさつは、昨年出たバイオグラフィにもあるように、Graceと別れたために、わがまま放題だった権力がなくなった上、ツアー活動に耐えうるスタミナ不足で、クビを言い渡されたから、ということになっているが、あえて今、Jormaはそれには触れていない。今さらそれを蒸し返しても仕方がない、と言っている。そんな過去のことよりも、今は回復を祈るばかりだ、と言って締めくくられている。
カントリー風のタイトル・ソングは、Spencerのペンによるもので、『Volunteers』に収録されている。緊張感がないといって賛否両論があるものの、自分自身や仲間を皮肉った、おふざけ半分の歌詞はいかにもSpencerらしい。