Who Do You Love/John Hammond

昨日に引き続き、またJormaの日記の話題になる。今回紹介するのは、Spencerの話題の前日に書かれたもの。その日の日記は、今から45年前の話から始まっていた。その年の秋、Jormaは祖父母に連れられて、初めてオハイオ州イエロー・スプリングスという街を訪れた。そこにある大学に入るためだった。父は外交官で、当時、家族と共にフィリピンに住んでいたため、JormaだけがワシントンDCの祖父母の下で高校生活を送っていた。彼の言葉によると、朝鮮戦争後、すべてがモノクロの世界と化していたのに、大学生活はそれまで味わったことのない別世界で、たちまち全てが華やかなテクニカラーになってしまったらしい。
最初の2学期を終えるとしばらく休学し、61年の初めに復学することになった彼には、その間、さまざまな音楽的出会いがあったという。たとえば、最初に住んでいた家の同じ階には、その翌年に、John Hammondが住むことになったそうだ。私はあまり詳しくないのだけれど、彼は今もJormaと親交の深いブルーズ系のミュージシャンだという。うれしいことに、彼のレパートリーの中に今日のタイトル・ソングを発見し、慌てて試聴して、即、使わせてもらうことにした。
そして復学後に寮のルームメイトとなったのが、Jim Kwseskin Jug Bandのウォッシュボード奏者Fritz Richmondの弟Steveだった。といっても、このあたりの名前は、私にはほとんど初耳だけれど・・・。さらに、Jormaのその後の音楽人生を大きく変えることとなった人物が、その上の階に住んでいた。それは、Jormaのエピソードではすでに伝説的人物となっているIan Buchanan(イタリア製のJAコンピ・アルバムのブックレットでは、Roy Buchananと混同されていた)。
Jormaは、その時初めてフィンガーピッキング奏法で弾くのを生で見て圧倒され、それ以来、彼にせっせと教えを乞ったという。Ian自身、Rev.Gary Davisと親交があり、直々に教えを受けた人なので、Jormaがたちまちそちらの方面に傾倒してしまったのは当然のことといえる。
それにしても、今頃なぜJormaが、そんな古い話題を持ち出しているのかといえば、ちょうどその日、母校アンティオック・カレッジの招聘でイエロー・スプリングスに出向き、演奏することになったから。自らの音楽キャリアの出発点となった場所に戻ってギターを披露するというのは感慨無量のことで、スピーチの最中に言葉を詰まらせという。そして、彼にとって最大の師匠であり、すでに故人となっているIan Buchananに敬意を捧げつつ、演奏が始められたらしい。