On The Border/Al Stewart

この日記を読んで下さっている方ならうすうすお察しの通り、私は決して沈着冷静なタイプではない。むしろドジな部類に入ると自覚している。普通の人よりよく転んだりつまずいたりするし、ちょっとしたことで擦り傷や切り傷もよく作る。でも、昨日の馬鹿さ加減には、我ながらあきれている。何しろ、牡蠣を口の中に入れている時は何の意識もなく、食道を通過したあたりでようやく、事の重大さに気付いたのだから、間抜けとしか言いようがない。大事には至らなくて、本当に良かった。
牡蠣を受け付けなくなった原因については、ちょっと思い当たるふしがある。2度目の渡欧中、スペインの国境に近い南仏のペルピニャンという小さな街で食べたランチが、そもそもの原因臭い。ローカルならではの安さに感激し、大好物のムール貝やアサリ、牡蠣がたっぷり入ったシーフード盛り合わせだけでは満足せず、欲張ってエスカルゴも注文した。これが大失敗。その前にエスカルゴの本場ブルゴーニュディジョンで食べた時は、大粒でガーリックとバターとパセリがよく効いていて最高においしかったのに、この時はずっと小粒で、しかもプロヴァンス風煮込みのため、エスカルゴ独自の臭みが残っていた。結局、どちらのメニューも食べきれないまま、食後すぐに電車に乗ってフラリとスペインに足を延ばしたら、入国審査の最中に急に気分が悪くなった。「主犯」がどいつなのか未だに不明だけれど、ランチの何かが容疑者であることは明らかだ。死にそうになりながらも、とりあえずスペイン入りし、名前すら記憶にない国境の小さな街に降り立った。ジュースよりも安い紙パック入りのサングリアを買い、あたりをうろつき始めたものの、すぐに耐えられなくなり、そのまま引き返すことにした。この時、これまで何度か書いたことがあるように、民家の窓越しにNeil Youngの「Cortez The Killer」が流れてくるという、まるでウソのようなエピソードもあった。結局、必死の思いでペルピニャンのホテルに戻り、そのまま何時間も苦しみぬいた。せっかく買ったサングリアも、見ただけで気持ち悪くなり、全部流した。今にして思えば、どうも、この時以来何らかの形で牡蠣に対する耐性が失われてしまったようだ。
さて、Eaglesにもタイトル・ソングと同名異曲があるけれど、私はこちらの方がずっと好き。こんな声が大好きと言っているわりに、アルバムは1枚しか持っていないのだけれど。