Talk To Me/Heather Nova

朝、予定の時間にお寺に行くと、親戚の人が沢山来ていた。父の強い遺志により、お葬式は身内だけで済ませたので、親戚が勢揃いするのは今回が初めてだった。父の兄姉5人はすでに故人で、しかも彼らに配偶者や子供はいなかった(3人は十代で亡くなり、2人は生涯独身)ため、集まった親戚のほとんどは遠縁で、顔も知らない人が多い。それでも、幼い頃の私を覚えている人が何人かいて、当時の面影があるからすぐにわかったと言われた(喜ぶべきか、悲しむべきか)。初めて顔を合わす人達は、口を揃えて弟の奥さんはどの人?と尋ねてきた。もちろんこれは、私と妹、そして実際の奥さんの3人の中で「本物」はどの人?という意味だ。その「本物」は複雑な顔をし、弟は苦笑していた。いくら奥さんの方が弟より少し歳上とはいっても、弟は私よりひと回り以上も歳下なのだから、間違えること自体失礼な話だ。
それにしても、幼い頃は退屈でたまらなかったお経も、去年の伯母のお葬式あたりから神妙に聴くようになると、あっという間に終わってしまう。四十九日というのも、初七日から数えて7回目にあたるからそう呼ぶのであり、また、それぞれの区切りごとに意味があることも教えられ、妙に納得した。
法要の後、会食の場に移動した。父のお気に入りだったお店の1つで、今年の春に迎えたばかりの金婚式にも利用したばかりだというのに、その主賓がいないのは寂しい。
食後、急いで駅に向かったら、プラットフォームには母方の叔母(父母の姉を「伯母」、妹を「叔母」と書いて区別するということは、実は、去年知ったばかり)もいた。すぐ上の伯母2人はよく顔を知っているけれど、この叔母と正式に顔を合わせるのは初めて。ましてやしゃべったことなんて一度もなかった。それでも、母の妹だとは思えないほど気さくな人で、一緒に並んで座ることになり、電車が大阪に着くまでしゃべり続けた。私は人見知りしやすいのだけれど、実は、相手次第でどうにでも変わるということがよくわかった。要するに、口下手であることに変わりはないけれど、決してしゃべるのが嫌いなわけではない、ということだ。ちゃんと私に話しかけてくれて、しかも、私の話を聴いてくれそうな人には、多分、安心しきって、何でもしゃべってしまいそうだ。
というわけで、タイトル・ソングにまたもやHeather Novaが登場。しばらく遠ざかっている恋人に対する、わかりやすいラヴ・ソングだ。