Bicycle Race/Queen

1つのエピソードを2回に分けて書くのは、これが初めて。そのわりに、たいした内容ではないけれど、それはいつものことだから弁解はしない。
結局、左肩にヒビが入っていると診断された瞬間は、誰もがそう思う通り、夢であってほしいと願わずにはいられなかった。なのに、重症を診慣れている担当医は気楽なもの。激痛のあまりに、腕をほとんど動かせない私に対し、「そんなはずはない。骨折じゃないんだから。」と言って、無理矢理引き上げた。すると自分でも驚くほど高々と上がった。
ちょうどその数日後に予定していた上京は、とうてい無理だろうと思い、恐る恐る尋ねると、「あなた次第。」という答えが返ってきた。要するに、私に気力があれば、行ってもかまわないとのこと。
ところが、帰宅し、いざ着替えようとしても、左腕を少し動かそうとしただけで激痛が走る。ヨガのポーズのように、身体を不自然にくねくねと曲げて着替えなければならなかった。病院で無理矢理上げられた時、あんなに高く上がったのがウソのようだった。
このヒビが自然にくっつくには数ヶ月かかるとのことだった。しかも、変なクセが付くと、歪んだままくっついてしまうので、外部からの強い衝撃を避けるようにとも言われた。そんな中、人ごみで他人とぶつかる恐れが充分にある東京に行くことは、無謀とも思われた。それでも、結局は、重い荷物を全部右手で持ち、痛みに耐えながら、必死で新幹線に乗ったのだから、気力が勝ったということになる。
実はこの時、いくつかのオフ会に参加することの他に、父と合流する予定も立てていた。ところが、ちょっとしたことで、父を激怒させ、同時に、とても悲しませてしまった。次の機会には埋め合わせしなければ!と思っているうちに、それが永久に叶わなくなったことを深く後悔している。
ちなみに、完治したはずの左肩なのに、今でも時たま痛むことがある。
タイトル・ソングは、あんな自転車事故にもかかわらず、今もなお、自転車に乗り続けている私には外せない曲だろう。おまけに、この曲は「Fat Bottomed Girls」とカップリングでシングル・カットされたのだし。詳しい記憶はないけれど、異常なまでに「下半身ブタ」の女の子たちの軍団が自転車に乗っているレコード・ジャケットが話題になり、それを見て、私は「上には上がいる」と安心した覚えがある。それとも、「ボトム」なので「下には下がいる」と言うべき?