Chuckles/Jeff Beck & The All Stars

「私のどこが好き?(我ながら、何という愚問!)」と問いかけて、すかさず「笑い声!」という答えが返ってきた時のフクザツな気持ちは、同性の方ならきっとわかってくれるはず。え?声?しかも、笑った時の声ってどういうこと?それじゃ、姿かたちはどうなの?性格はどうでもいいの?と問い詰めたくなる。すると、最初に声を聴いた時のインパクトが強かったからそう答えただけで、外見や性格も嫌いなわけはないと逃げる。でも、「顔で好きなのはどこ?」と尋ねると、「笑顔」と「あまり高くない鼻」という全然うれしくない返事。質問するのがだんだん空しくなってくる。私は自分の笑顔が大嫌いに近いし、鼻は顔の中で最大の弱点。なのに、あえてそれらを挙げられ、自分では比較的気に入っている眼が無視されるなんて、どうにも納得がいかない。さらには、性格で好きなのは「負けず嫌い」で「頑固」で「意地っ張り」で「正直」なところだと言う。要するに、私の欠点ばかりしか見ていないという気がする。こんなことを言われて、素直に喜べるわけがない。それどころか、褒めるところがなくて、無理に見つけようとしているんじゃないのか、とさえ疑いたくなる。
ただ、せめてもの自己擁護として言うならば、私の笑い声は決して「ワハハ」と豪快でもないし、「ケタケタ」とけたたましくもないし、「イヒヒ」という不気味なものでもない。確認のため、「Muskrat Love/America」の歌詞に出てくるような「giggle」ってこと?と尋ねると、それよりむしろ「chuckle」の方だと言われた。確かに、「giggle」には、ほんの少しだけやかましいイメージも含まれるけれど、「chuckle」はもっと静かな感じ。それならまあ、良しとしよう。
それに、まさにこれがタイトルとなっているインストゥルメンタル・ナンバーもあるのだし(しかもJeffやNicky参加で)。ちなみに、この曲は紙ジャケットの日本編集盤CD『Blues Anytime2』に収められている。Jeff Beckに夢中になったばかりの頃、なじみのレコード店で取り寄せてもらった『Blues Anytime Vol.3』と、参加メンバーにはそれほど興味がないので購入しなかった(に違いない)『Blues Leftovers』が2 in 1にまとめられたものだ。LPでは『Vol.2』も持っていたはず(Jo Ann Kellyを知ったのも、このアルバムで)だけれど、こちらもCDでは『Vol.1』とまとめられて『Blues Anytime1』として出ているので、いずれ入手しようと思う。