The Other Side Of This Life/Eric Andersen

結局、実家に居る間に聴いていたのは先日触れたKasey Chambersのライヴと、10月に届いたままそのままにしていたEric Andersenの『The Street Was Always There』だけだった。ライナーノーツを持たずに帰ったので、アルバムの詳細については、ろくに予備知識もないまま聴いた。ディスクには曲のタイトルさえ記されていなかった。DylanやFred Neil、Phil Ochs、Buffy Sainte-Marie等、Ericの敬愛するミュージシャンや、仲間達の曲のカヴァーが中心だということだけ知っていた。ざっと聴いた限りでは、まず2曲目がもろに私好みだった。後で調べたら、David Blueの「These 23 Days In September」だった。4曲目は、まるでWarren Zevonを思わせるような、力強くワイルドな歌い方だったので驚いた。おまけに、ドンドコドンドン・・・というリズムは、何となくBo Diddleyのジャングル・ビート(?)みたいで、ますます親しみがわく。考えてみると、2人共、声が低くて太いという共通点がある。だから、Ericの歌い方がワイルドになると、WZに似てくるのは当然のことだろう。ちなみに、この2人とはちょっとタイプが違う低い声で、互いに似通っているのは、何度か引き合いに出したBert JanschとPaul Kantner。彼らもまた、聴いていてゾクゾクする。
圧巻は10分近く続くDylanの「A Hard Rain's A-Gonna Fall」。長さを感じさせない。一方Fred Neilの「The Other Side Of This Life」は、これまで聴いたどんなカヴァー・ヴァージョンよりもイロっぽい。冒頭の♪Would you like to know a secret just between you and me♪という部分を聴いただけでドキドキする。
ただ、アルバム全体を通して聴いた時、何となく違和感があった。その原因は一目瞭然。ホーンが入る曲が数曲あったから。そういう曲は、妙に小ぎれいにまとまって、彼らしい生々しさがあまり伝わらない。ヘンだな、と思っていたら、実は私が大きな勘違いをしていた。このアルバムは、60年代に録音された未発表カヴァー曲を、リマスターして初めて発表したものだと思い込んでいた。ところが、後でライナーを読むと、彼にとって思い入れのあるこれらの曲を、あえて新たに録音したものだということがわかった。何だ、そうだったのか。だから、ホーンまで入っていたというわけだ。余計なものを入れる必要はなかったのに・・・。
でも、このシリーズは、第2弾も計画されているそうで、やっぱり楽しみ。