Blowin' In The Wind/Bob Dylan

成人の日がいつのまにか1月の第2月曜日という変動性になっているため、今年はたまたま十日戎と重なっている。実は私は、成人式に出席しなかった。大学生で実家を離れていたので、通知が届かなかったし、そもそも、そういう形式的なものにはまったく興味がなかった。でも、20歳の誕生日に母が真珠のネックレスをプレゼントしてくれたことは覚えている。しかもそれは、今でもちゃんと残っている。そして、私の知らないうちに総絞りの薄桃色の晴れ着まで作ってくれていた。尤も、それを着たのは、その数年後のお正月にたった1度だけだったけれど。
一方、十日戎といえば、商人の街大阪では、毎年、この日を挟む3日間、大いに盛り上がる。お見合いの時、とても有利な条件になるとも言われる福娘まで選ばれたりする。何年か前に、冷やかし半分に今宮戎まで足を延ばしたことがあるけれど、悪天候にもかかわらず、ものすごい人出に驚いた。
私の故郷でも、毎年小規模ながらこの催しは盛んだった。実家は、商売を営んでいたわけではないけれど、一応、縁起物ということで、必ず神社で笹飾りを購入し、神棚に飾っていた。ある年、私がお手伝いの一環として、古い笹と交換に、新しい笹を手に入れに行くことになった。神社は、たまたま同級生の子の家だったので、その子のお母さんが、私を見て特別におまけしてくれた。商人の家庭では、まさに何万円(小学生の頃の話なので、今の貨幣価値に換算すると、一体、いくらぐらいになるだろうか)もする豪華な笹飾りを購入するのが当たり前だったけれど、そうではない我が家では、ごく一般的なもので充分だった。それなのに、笹につける様々な飾りの中で、小判だけは、30cm近い超特大のものにしてくれた。もちろん、アンバランスであることこの上ないけれど、その豪華さを単純に喜んだ。ところが、その日はものすごい強風で、帰り道に小判だけが吹き飛ばされてしまった。私は突然のハプニングに動揺し、それを拾うことさえ忘れて家に辿り着くと、「小判が飛ぶなんて縁起でもない!」と母に叱られた。とんでもないことをしたということにやっと気付き、急いで探しに戻った。幸い、見つかったからよかったものの、今にして思えば、身の程知らずのものは似合わないということに違いない。十日戎といえば、必ずそのエピソードを思い出す。
それにしても、今日のタイトル・ソングは、ちょっと直球勝負しすぎかな。