狼になりたい/根津甚八

Spencerの件とはまったく関係なく、何となくすっきりしない精神状態。何がどうだとか、そういった直接的な原因は自分でもよくわからないまま、漠然と何もかもイヤになり、疲れ切っている。裏を返せば、簡単には解決できないあまりにも多くの問題を抱えているということなんだろう。それらが1つにまとまり、突然変異でいびつな形となって巨大化し、眼に見えない大きな壁のように、四方からじわじわと私に迫ってくるような感じ。閉所恐怖症の私には、とんでもない苦痛だ。そのせいか、Spencerを追悼するCDの1枚すら、まだ聴いていない。
全てがイヤになると、普段はあまり気にかけない(というか、気付かないフリをしている)些細な事柄に対しても、やたらと苛立つ。自分1人が周囲の世界から取り残され、理解されないままでいるという被害妄想に囚われる。自分だけがそうだと思うのはただの思い上がりで、誰でも多かれ少なかれ、同じようなことを感じているはずだということぐらいわかっている。それでも、自分の場合だけ、何かが致命的に違うと感じずにはいられない。
こんな時、私のお守り役の人は大変だろうな、とつくづく思う。ああ、お気の毒!でもありがとう。
あまり脈絡のないタイトル・ソングは、中島みゆき作。学生時代、松任谷由実の第一次ブームの真っ只中だった。でも、彼女の描く都会的でシャレた世界に、私はどうしてもなじめなかった(唯一、受け入れることができたのは声ぐらい)。いわゆる「city girl」という言葉が全盛の中、私は断固として「country girl」を貫き通した(Neilも歌っているしね)。そして、むしろ彼女と対極にある中島みゆきの泥臭さの方が、自分には少し近いんじゃないかとすら思っていた。まあ、2人のアルバムをまともに聴いたことはないので、単に、感覚的にそう思っていただけなのだけれど。この曲を初めて聴いたのも、根津のカヴァー・ヴァージョンの方だったし(あいにく、状況劇場時代のこの人のことは知らないけれど、退団して映画やTVに出始めた頃は光っていた)。
ちなみに、この曲で一番好きなフレーズは♪人形みたいでもいいよな 笑える奴はいいよな♪という部分。でも、狼はイヌ科なので、集団行動をするのが習性。ということは、「狼になりたい」というのは、実は「群れたい」ってこと?、と余計な突っ込みを入れたくなる。狼は一番好きな動物だけれど、私自身は、所詮、ネコ科の生き物なんだろうな。