忘れかけた子守唄/The Tigers

ほとんど発掘済みだと思い込んでいた実家の自分の部屋に数ヶ月ぶりに入ったら、すっかり忘れていたファイルが出てきた。中には、六つ切りぐらいの生写真が多数。JormaとPaulのものがほとんどだった。グラント・レコードのオフィスを訪問した時にもらった物から、通販で購入した物まで色々。保管状態が悪くて、一部劣化しているのが残念だ。そして、中学生の頃、何気なく集めていた映画のチラシも数十枚出てきた。映画館の中でもらえる公式の物だけでなく、新聞の折込用に使われた映画館独自の物もあった。私が住んでいたのは地方小都市なので、当時はロードショー館はなく、2本立てが中心だったけれど、改めて見ると、意外な組み合わせがあっておもしろい。
さらにうれしい発見は、『GS & POPS』誌のバックナンバーだった。限りなくミニコミに近いこのファンジンが、たまたま何かの雑誌で紹介されているのを見て、すぐに購読し始めた。今も一部のマニアの間で人気の高い故鈴木いづみさんや、GS研究家の黒沢進氏なども寄稿していた。ちょうどタイガースの同窓会コンサートの頃のことで、編集長は、私がそのレヴューを書くのなら、チケットを1枚回してくれると言った。最盛期の頃、結局1度も見ることができなかったので、私にとってそれが初めて見る生タイガースだった。
その時の素直なレヴューが気に入られたようで、GS専門誌にもかかわらず、なぜかJA特集の記事を依頼されることになった。
ところが、数年前から実家に帰るたびに探し続けているのに、その号だけ見つからない。それが今頃、偶然見つかるなんて・・・。他の号とは別にして、きちんと保管したつもりが、裏目に出ていたというわけだ。
実は、その号が出た時、自分の書いた物がどのように掲載されているのかを確かめるのが恥ずかしくて、その特集だけ飛ばして読んだ。20年以上経た今、ようやく眼を通してみて、まずその印刷ミスの多さに驚いた。低予算雑誌のため、実質的に編集長1人で制作していたものだから、校正に手が回らなかったのは納得できるけれど、かなりひどい。まあ、それを抜きにしても、私自身の文章が固くて実にぎこちない。それはご覧の通り今も続いているわけで、改めて、自分が成長していないことを思い知らされ、自己嫌悪に陥りそうだ。でも、そのうち気が向けば、勢いに乗ってどこかで公開するかもしれない。何しろ、内容はともあれ原稿用紙30枚近い大作なのだし。