New Ways〜Train Train/Jeff Beck Group

昼食後、大阪に向かった。普段は自由席を利用するのに、珍しく指定席で。使用期限が迫った回数券を弟からもらったから。自由席でもほぼ確実に席が取れるほど空いている。指定席だとさらにガラガラ。おかげで、いつになくのんびりとBert Janschのライヴを聴きながら、電車で各地を移動した時のことをふと思い出した。
車社会のアメリカでも、機会さえあれば電車や地下鉄によく乗った。イラン革命で何度目かのオイルショックに陥る前は、電車利用者はごくわずかで、道中は実にゆったりとしていた。欠点は、本数が少なく、1時間単位の延着や突然の運休さえ珍しくないということだった。それに比べると、国際間の鉄道網が発達しているヨーロッパでの列車の旅は、さらに便利だった。出発前に「ユーレイル・パス」という格安の乗り放題パスを購入しておけば、ほとんどどこにでも行ける。しかも、ファースト・クラスで、有効期間は数ヶ月単位。ただし、日本とは比べものにならないほど階級意識の根強く残るヨーロッパで、通常ファースト・クラスを利用するお客といえば、見るからにリッチで上品そうな人ばかり。そんな中では、居心地の悪さすら感じた。何しろ、私なんて、日本でもグリーン車の乗った記憶は、たった1回しかないのだし。
列車にちなんだタイトル・ソングにしよう!ということで、ブルーハーツにも「Train Train」という名曲があるけれど、紙ジャケット・アルバムの発売を記念して、Jeff Beck Groupを選んだ。いわゆる第2期JBGのデビュー・アルバム『Rough & Ready』に収録されている。モノクロのジャケットに写るJeffの姿をレコード店で初めて見た時、思わず眼を奪われた(一緒に写るCozy PowellがJeffのソックリさんだと言われることもあったけれど、私には絶対そんな風に見えなかった。ほんの1〜2cmでも顔の長さが違ってバランスが狂うと、雰囲気がまったく変わる。その微妙な違いがとても重要だ)。私が初めて買ったJeffのアルバムは、これと次の2ndを2枚同時にだった。ブルーズ以外の黒ぽいサウンドにはあまり興味のない私には、今にして思えば、ちょっと無理のあるアルバムだった。でも、Jeffに夢中のいたいけな女子高生だった私は、気に入るまでせっせと聴き続け、そこからさらに過去へと遡っていった。そして第1期Jeff Beck GroupとYardbirdsに辿り着き、私が求めているのはこちらの方だと確信した。それは今も変わらない。