バン・バン・バン/The Spiders

ようやく仕事は一段落ついたものの、試しに近所をうろついてみたら、やっぱりまだ体力が回復していないのがわかる。すぐにふらついてきた。もう少しおとなしくしていよう。肩が凝り、眼も疲れているので、せっかく届いたDVDもまだ見る気がしない。CDさえ、じっくり聴くだけの集中力がない。
ところで、今は少しほとぼりが冷めたものの、少し前まで、ちょっとヘンなモノにハマっていた。たまたま何かの検索をしている時、まったく無関係の項目が眼に留まり、つい興味本位でそのサイトにジャンプしてしまうということがよくある。この時もそうだった。一体、何を調べている最中に、そんな場違いな物が出てきたのか、さっぱり覚えていないけれど、とにかく彼女は、ごく当たり前のように私の眼の前に現われた。「彼女」とは「ブンカオトメ」というキャラクター。チロル・チョコの期間限定商品「イチゴプリン」のパッケージを飾る人物だ。丸い顔に丸い眼、それに小さな小さな口という、いかにも古臭い幼児キャラなのに、二コリともしないので年齢不詳に見える。何よりも興味を持ったのが、パッケージに添えられているその威圧的、かつ、ひとりよがりのセリフの数々。それが妙におかしくて、ツボにはまった。発見した翌日、早速、コンビニに探しに行き、見つけるやいなや、全種類買ってしまったほど。といっても、1個21円で8種類しかないので200円でお釣りがくる。チロル・チョコを買うこと自体、もう何年ぶりにもなるので、ついでに「きなこもち」と「すぃーとぽてと」と「ショコラタルト」なるものも買った。毒々しい駄菓子かと思いきや、それぞれ工夫が凝らされて、たまに食べる分には悪くない。不気味に思えた「イチゴプリン」さえ、ヴァニラ・ビーンズまで入っているという手の込み方だ。
といっても、ハマったのはチロル・チョコ本体ではなく、あくまでもキャラクターの方。どうも私は、毒舌を吐くモノに弱いのかもしれない。特に、こんな風に、外見とのギャップがあると、気になって仕方がない。馬鹿馬鹿しいとは思いつつ、見るたびに顔がほころんでしまう。つい調子に乗って、そのセリフを真似て失笑を買ったりする。
ちなみに彼女は、行きつけの喫茶店で、注文した物がすぐに運ばれないと、テーブルを「バンバンバン!」と叩いて、無言で催促する。その様子は見るからに怖いけれど、どこか憎めない。私にはとても真似はできないなあ・・・。