Josephine Of The Swamps/Grant Lee Phillips

先月行なわれたグラミー賞授賞式のステージで披露されたJanis Joplinトリビュート・ライヴで、Joss Stoneが「Cry Baby」を歌う映像をようやく見ることができた。以前から、彼女がJanisをカヴァーするのを聴いてみたくてたまらなかったけれど、これは予想以上にすごかった。幸い、これまで何度も、彼女のライヴ映像を見るチャンスに恵まれていて、そのたびに、彼女の何が好きとか、どこが好きとか、うまく言えないまま、ただひたすら聴き入っていた。そして今回は、これまで以上に夢中になって聴き惚れてしまった。ふだんはTシャツかタンク・トップにジーンズ、というラフなスタイル(1度、早朝番組に、パジャマ姿にルーム・シューズで登場という、さり気ないのだか何だかわからない演出もあったけど)でステージに上がる彼女には珍しく、今回は、Janisを意識してなのか、胸の開いたセクシーなロングドレスで登場した。あんまりイロっぽくないけれど、意外によく似合っている。でも、これまでよく色々な女性シンガーに言われてきたのと同じように、彼女のことを、「○○のJanis」だの「Janisの再来」だのという言葉であっさり括ってしまうのは、ちょっと不本意だと思う。彼女がどれほど見事にJanisを歌いこなしても、決してJanisの二番煎じでも何でもない。あくまでも、「Joss Stone」自身の個性をはっきりと携えている。そう言いながらも、Janisのカヴァー・アルバムをぜひ出してほしい!と願い続けているのは、矛盾だらけのわがまま?しかも、勝手に『Joss Sings Pearl : A Tribute To Janis Joplin』というタイトルまで考えているなんて、調子がよすぎるかな。
見ていたステージ映像は途中から「Piece Of My Heart」に移り、ギターを抱えたMelissa Etheridgeが加わった。彼女についての知識は皆無に等しいので、そのスキンヘッド姿を見て、最初は唖然とした。ところが、抗がん剤の副作用でそうなっているということを、後で知った。やつれた姿どころか、むしろパワフルにさえ見えるステージを披露してくれたからこそ、その裏に隠された事実に驚くばかりだった。好きなミュージシャンや俳優の多くを癌で奪われている昨今なので、こういったことにはつい敏感に反応してしまう。
ところで、Jossは「Josephine」の愛称なのかと思って今日のタイトル・ソングを選んだのに、本名を調べたら、「Joscelyn Eve Stoker」だった。よく考えると、Josephineの愛称なら「Josie」が一般的。そういえば、Steely Danにそんな曲があったよね。