Carry On Till Tomorrow/Badfinger

『American Folk Blues Festival 1962-1966 Vol.1』というのを見せてもらった。こんな映像が見られるとは知らず、気軽に画面に眼をやったら、いきなりモノクロの映像が。おおっ、これは!錚々たるブルーズ・メンの演奏が続く。予想していないものを見せられると、興奮の度合いも高まる。ただし、視覚的にアピールするものと聴覚的にアピールするものが必ずしも一致しないということを、改めて痛感した。この映像で、私が視覚的に一番メロメロになってしまったのは、Walter Shakey Hortonの長く細くすべすべとした美しい指だった。ブルーズ・ハープ・プレイヤーなので、その指先が、これでもかこれでもかとアップになるのを見て、傍らにいる人をほとんどそっちのけで大騒ぎした。「指フェチ」を公言する私にとって、ほぼ完璧に近いと思われるほど見事な指!もし、その両手首から先を忠実に再現したブロンズ像があるとすれば、すぐさま手に入れ、その感触を楽しんでみたい!そう思わずにはいられないほどだった(ここまでくると、ちょっとアブない?)。
また、最初から違和感があったのは、ドレスアップし、行儀良く座って鑑賞する白人の聴衆の姿。60年代前半のアメリカで、そういった状況は絶対にありえない!と不思議に思っていたら、実はドイツで行なわれたフェスティヴァルだった。有名な音楽番組『Rockpalast』以前から、こんなすごい番組があったなんて。それから、これまで様々なヴァージョンを耳にしていながら、歌詞をあまり真剣に聴いていなかった「Five Long Years」を、今回、Eddie Boydが歌うのを聴いて、あることに気がついた。Yardbirdsの「New York City Blues」の歌詞は、この曲からかなり拝借している。冒頭の♪If you've ever been to New York City,You know what I'm talking about♪は♪Well,have you ever been mistreated?D'you know what I'm talking about?♪を、最後の♪I finally learned my lesson,Such a long time ago,Next little woman that I date,I've got to know, I've got to know her family too♪は♪I finally learned my lesson, should a long time ago.The next little girl that I marry,She work and bring me some gold♪を、明らかにもじっている。細かい単語や場面設定は異なっていても、組み立てはまるで同じ。これに限らず、ブルーズの歌詞って、お決まりのものが多いので、とやかく言うべきではないのだろうけれど、こんな風に、何気なく気付くと、ちょっとうれしくなる。