Father Bruce/Grace Slick&The Great Society

昨日のタイトル・ソングは、不本意ながら、実際の表記に従ってヘンなカタカナを使わざるを得なかった。だけど、「レイニーブルース」と書いてみても、全然、bluesが浮かんでこない。それどころか、なぜか眼の錯覚で「レニーブルース」と読み違えそうになり、50年代から60年代半ばにかけて一世を風靡した、ユダヤ系コメディアンであり風刺家のLenny Bruceを連想してしまった。そうなると、今日のタイトル・ソングはもう決まったようなもの。JAに加入以前のGraceが、Great Society時代に歌っていた曲だ。彼女は、Lenny Bruceのことを、あえて「神父」にたとえている。多分これは、汚い言葉を連発してタブーに挑戦(本人は、それを意識していたかどうかわからないけれど)し、その後に続くフリー・スピーチ・ムーヴメントの象徴の1つとなったに違いないLennyに対する尊称なのだろう。
私が彼の名前を初めて知ったのは、Dustin Hoffmanが主演する『レニー・ブルース(Lenny)』という伝記映画の紹介を、『スクリーン』誌上で読んだ時だった。地味な作品なのに、実在の人物がモデルということで、子供心にとても興味をもちながらも、結局、近所の劇場では見ることができず、今もなお、タイミングを逃したままになっている。
その後、突然JAが好きになり、さらに遡ってGreat Societyも聴いてみたら、この「Father Bruce」なる曲に遭遇した。そして、よく知りもしないくせに、妙になつかしくなった。そういえば、20数年前の第一期お笑いブームの時、ビートたけし(ここで「北野武」と書くのは不自然)が、「好きな(あるいは「尊敬する」だったかも)コメディアン」として、Lenny Bruceの名を挙げていたので、さすが!と思った。お笑いにはさほど興味のない私だけれど、当時から、たけしだけはひと味違うと感じていた。
ところで、私の記憶違いかもしれないけれど、以前、シスコのフィルモアの全出演者リストを見た時、Lennyの名前もあったような気がしてならない。とても気になって調べてみたら、その通り!何と、66年に亡くなる1ヶ月半前に、<a href="http://www.olsenart.com/bglennybruce.html">最後の公演</a>を行なった場所がまさにフィルモアだった(ところで、そこに一緒に書かれているThe Mothersって、Frank ZappaのあのMothersのこと?)。詳しいファン・サイトも見つけて、興味深く読み始めた。
ちなみに、Dylanが80年代初めに出した『Shot Of Love』というアルバムには、そのものズバリ!「Lenny Bruce」という曲があるそうだけれど、あいにくそのアルバムは持っていない。