I Wish You Would/John Hammond

なぜかむしょうにTunaの『Hoppkorv』が聴きたくなった。一体どうして、突然そんな気になったかというと、昨日Mick Taylorの映像を見た後で、Gerry Groomの『Once In A Blue Moon』を聴いたからに違いない。それとTunaに何の関係があるのかといえば、いずれも「I Can't Be Satisfied」をカヴァーしているから。ただそれだけのこと。Muddy Watersによるこの曲は、初期のStonesをはじめ、多くのアーティストにカヴァーされている。ただ、ほとんどすべてのカヴァー・ヴァージョンが、さらりとしたオリジナルのイメージに近いのに比べ、Tunaヴァージョンは実にヘヴィなアレンジとなっている。Tunaの1stで、カントリー・ブルーズをほぼ忠実に再現していたのとはずいぶん違う。ブルージーな感覚を残しながらも、それを新たに組み立て直し、重々しいTunaサウンドに変えている。その前々作から続いたTunaのヘヴィ路線の集大成とも言えるこのアルバムでは、他にも「Bowlegged Woman, Knock Kneed Man」「I Wish You Would」「Talking 'Bout You」さらには「It's So Easy」など、おなじみの曲もカヴァーされているけれど、いずれも、これでもか、これでもか!というほど重厚な音に作り変えられている(「I Wish You Would」なんて、Yardbirdsヴァージョンとはまったく違う曲に聞こえる。ただし、この曲だけは、Yardbirdsの方が好き。ちょうど「Smokestack Lightning」が、QMSをはじめとするどんなヴァージョンより、Yardbirdsヴァージョンの方が好きというのと同じ。情けない曲には、Keith Relfの情けないヴォーカルがよく似合うから)。
実はこのアルバム、<a href="http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=435022&log=20040502">「It's So Easy」</a>をシングル・カットしただけでなく、初めて外部のプロデューサー(David Bowieの『Young Americans』をプロデュースしたHarry Maslin)を迎えたことからも、本気でヒットを狙っていたことがよくわかる(ちなみに、次作の2枚組ライヴ『Double Dose』をプロデュースしたのはFelix Pappalardi)。正直に言うと、この「Rampant Era」(Jorma自身は嘲笑的に「The Metal Years」と言っている)の3枚のアルバムは、従来のTunaファンにはあまり評判が良くない。でも私は、ちょうどその頃リアルタイムで聴いていたので、抵抗なく聴ける(それどころか、とても好き!)。ちなみに、『Hoppkorv』とはスウェーデン語で「jumping sausage」のこと。スウェーデンには、確かに、ホットドッグ・スタンドが多かった。