Heart Of Stone/SVT

先日届いたClare Muldaurの2枚とKathi McDonaldにまだ手をつけていないというのに、ここ2〜3日の間にさらに数枚が届いた(こんな到着ラッシュは、年に何度かある)。Julie MillerやMaria Muldaur、それに珍しく1ヶ月以上待たされたPeter Mulveyなど。それなのに、それらを差し置いて、今聴いているのは、一番新しく届いたばかりのSVT『No Regrets』。実は、SVTを聴くのはこれが初めて。70年代後半にJormaとJackが一時不仲になり、Hot Tunaの活動を休止してそれぞれ独自の活動を始めた際、Jackが選んだのがこのSVTだった。あのJackがニュー・ウェイヴ・バンドを結成するなんて!という意外性が、当時、話題になったけれど、結局、私は1度も聴くことのないまま現在に至っていた。それどころか、シスコに在住中、ライヴの告知を知っていたにもかかわらず、会場があまり品のよくない地域にあるという理由で、あえて見に行くのをやめた。それでなくとも、眼の下にクマができ、いかにも不健康そうな彼らのポスターを見て、ちょっとおじけづいていたし。
そういった背景もあり、ラスト・アルバムが初めてCD化されたことを機に、ようやく聴いてみる気になった。一時Tunaにも在籍していたキーボードのNick Buckは、このアルバムではすでに脱退(幸い、ボーナス・トラックでは聴ける)し、トリオとなっている。ドラマーも替わった。大体、予想通りのサウンドで、正直に言って、特に興味を引かれることもない。Jackがデモを聴いて惚れ込んだという、今は亡きBrian Marnellのヴォーカルも、私には今ひとつピンとこない。最初は姿勢を正して聴いていたのに、結局、ライナーを読む方に夢中になってしまった。SVT結成のいきさつをよく知らなかった私にとって、ヴォーカルのBrianの旧友であり、後にHeuy Lewis & The Newsに加入したJohnny Collaによる5ページにおよぶ細かいライナーは、何から何まで「へ〜え」の連続だった。何しろ、BrianとJohnnyがそれ以前に在籍していたSound Holeというバンドは、Van Morrisonのバックを務めたこともあるというし、それ以上に驚いたのは、あのMario CipollinaやGreg Douglassも在籍してということ。やはりベイエリアは狭いということなのだろうか。
さらに、SVTというバンド名は、心臓の異常な状態を表わす専門用語「Supra Ventricular Tachycardia」の省略形だと言われていたけれど、実はもっと単純に、Jackのベース・アンプの装置にちなんでつけられたという。ふ〜ん、そうなんだ。いずれにしろ、よくわからないけど。