’Orrible Orange/Kevin Ayers

昨日の私の落胆ぶりを目の当たりにした母が、産地直売のお店のことを教えてくれたので、早速行ってみた(食べ物だけでなく、何事に対してもこれだけの探求心があれば良いのだけど、なかなかそうはいかない)。
教えられた店頭には、確かに、色々な野菜や果物が並んでいる。柑橘系も、ざっと見ただけで5〜6種類ある。なのに、愛しの夏みかんはやはり見当たらない。ダメ元で聞いてみたら、お決まりの答えに加えて「市場で時々見かけるよ」という言葉。「え?!」思わず声を上ずらせて聞き返した。「誰も買わないから、キロ\100か\200ぐらいの安値がついてる」「え〜っ!そんな〜!」「今度見つけたら、連絡してあげようか?」何と親切な人なんだろう。でも、「こっちに帰ってくるのは、月に1〜2度ぐらいだから・・・」と言って、泣く泣くお断りするしかなかった。そんな話を聞くと、通販で5kg・10kg単位で販売されている商品のバカ高さにあきれる。輸入盤の新品CD3〜4枚に相当するなんてね。
いずれにしろ、せっかく親切に応対してくれたのだから、何か買わなくては・・・とあたりを見回した。忌々しい甘夏や、清見オレンジ三宝、それに、怪しげな「ニュー・サマー」なるものがある。隅っこに並べられた、さらに怪しげな「セミノール」という名前の、初めて見る種類が妙に気になった。一見、ネーブルに似ているけれど、もっと小ぶりで、表皮の色がずっと濃いオレンジ色。QMSの古いライヴ音源に「Seminole Mansion」というタイトルの曲があったことを、とっさに思い出した。だけど、どんな曲なのかさっぱり記憶にない。確か、「セミノール」ってネイティヴ・アメリカンの種族の1つだったはず。そう思うと、ますます気になって食べてみたくなった。袋に一杯入ってたった\105という安さも気に入った。
というわけで、今日もまた夏みかんは姿を見せてくれなかったけれど、思いがけない収獲品を手に、ちょっぴりいい気分で家に戻った。袋の中には何と8個も入っていた。これで採算が取れるんだろうか。他人事ながら気になる。肝心の味の方は、甘くてジューシー。これは予想通りだった。さらに、予想外の酸味もあり、全体の味をキリっと引き締めていた。これならあと数袋買うべきだった。ただし、唯一の欠点は、ポンカンなどと同様にタネが多いこと。それに、あまりにもジューシーなので、指先がベタベタになってしまう。でも、柑橘系にはちょっとうるさい私の総合的評価では、文句なしに合格!これもまた、やがて幻の品となってしまわないことを祈るばかり。