YourMindHasLeftYourBody/Paul K.& Grace S.

2日続けて、あの忌まわしい鳴き声を聞いてしまった。天気が良くなかったので、より一層活発だった。そんな危険な場所に近付かなければよいのに!と言われそうだけれど、そういうわけにもいかない。恐怖と引き換えにしても、行かなきゃならない所だってある。
でも、鳴き声を耳にすることはあっても、その本体に出くわすことはないのがせめてもの救い。去年もそうだった。というより、幸い、もう何年も「やつら」には遭遇していない。
もしもその逆に、鳴き声は聞こえないのに、姿だけ見かけるということになれば、それは命にかかわる重大問題。もちろん、鳴き声だけでも充分怖いけれど、姿が見えない限り、それで我慢するしかない。いずれにしろ、この話題はもうやめた方がよさそうだ。その日に起きた出来事や、何気なく口にした言葉が複雑に組み合わさって、夢の中に出てくることが多いから。
夢といえば、ちょうど1週間前、帰省中に不思議な出来事があった。夜10時過ぎに、突然息苦しくなった。その直前に、昨秋亡くなった父のことが頭に浮かんできた。考えるとひどく取り乱してしまうのがわかっていたので、これまでずっと、わざと考えないように努めていた。でも、そろそろ平気かと思って、思いを馳せ始めたのが失敗のもと。このところ治まっていたはずのパニック発作が・・・。気持ちを静めるために、まず深呼吸してお水を飲んだ。幸い、私の場合、発作が一番ひどい時でさえ、病院に運ばれるようなことは1度もなかった。それでも、この時はなかなか治まる気配がなかった。帰省中とはいえ、前に書いたように、夕食後は、実家から少し離れた別宅に1人で滞在しているので、頼る人もいない。パジャマのまま飛び出して、母の居る実家にかけこもうかと思った。それでも、何とか思い止まった。そうするうちに、どうにか落ち着いた。
翌日、母に会ったとたん、「昨夜何か変わったことがなかった?」と訊かれた。「え?」と聞き返して驚いた。10時過ぎにうとうとしていた母は、私の夢を見たという。夢の中の私はひと言もしゃべらず、悲壮な面持ちで、実家の2階に上がっていった。それを見た母は、「どうしたの?何があったの?」と必死で尋ねようとしたのに、息が苦しくて言葉を発せなかったらしい。
私はすぐに、前の晩の出来事を話した。そして2人で顔を見合わせた。父が亡くなる前の晩に、死亡時刻を予言する夢を見るほど、母は霊感の鋭い人だけれど、まさか、こんなことまで・・・。それとも、無意識の間に、私が幽体離脱でもしていたのだろうか?