Mariel/KBC Band

まずは昨日の補足から。この日記は、タイトル欄さえ字数制限されるため、適切な表記ができなかった。正しくは「Your Mind Has Left Your Body/Paul Kantner, Grace Slick & David Freiberg」となり、PaulとGraceのコンビに、元QMSのメンバーで、後期のJAおよびJSのメンバーとなるFreibergが加わっている。これが収録されているのは『Baron Von Tollbooth & The Chrome Nun』。David Freibergといえば、ヴォーカルはもちろん、ベースにキーボードにギター、さらにはヴィオラまで操る器用な人なのに、なぜか地味な存在だ。これも、3人の共作アルバムとされているにもかかわらず、アルバム・タイトルは、PaulとGraceのことをほのめかすジョークまじり(「tollbooth」とは「料金所」のこと)の2人の架空人物の名前となっていて、Freibergは無視されている。正直言って、私もこれまでずっと、何かにつけて「華がない!」といって、彼のことを冷たくあしらってきた。たとえ華がなくとも、クセがあったりアクが強かったりすれば、ひょっとすると私のおメガネに適ったかもしれないけれど、残念ながらそれもない。ミュージシャンの中で、こういう人はむしろ珍しい。
アルバムに話を戻す。鍼灸院の待合室にでも飾られていそうな(実際に行ったことがないので、あくまでもイメージにすぎないけど)人体解剖図風ジャケットのイラストからもわかる通り、当時、PaulとGraceは東洋的なものに興味を示していた。単に、表面的にかぶれていただけなのか、それとも、もう少し掘り下げて研究していたのか判断しがたいけれど、少なくとも、読書好きのGraceは、武士道や東洋哲学の本をかじっていたようだ。また、カラフルな刺繍を施したチャイナ・ジャケットに身を包んだ彼女の姿が、音楽雑誌のグラヴィアで紹介されたのもその頃だった。そして、30年後を暗示させるようなその姿を見て衝撃を受けた。その時、私にとって一番ショッキングだったのは、彼女が、それまでに見たどの写真よりも太っていたことよりむしろ、あまりにも自信のなさそうな、そして、いかにも人が良すぎるようなその表情だった。あこがれのGraceには、常に凛としていてほしかった。幸い、その後、JSとして再出発するようになった頃には、また元の美しいGraceに戻っていたけれど・・・。ただ、それも長くは続かなかった。
JA時代からPaulの書く曲が一番好きだった私は、このアルバムのお気に入りもまた、彼による昨日のタイトル・ソングと「White Boy」、そしてGraceとの共作「Sketches Of China」の3曲。