Time Fades Away/Neil Young

時の記念日の今日、1日中、時間に追われながら仕事をしていた。とは言え、腕時計をはめなくなってもう何年にもなるので、がんじがらめに時間に縛られているという気はしない。腕時計をはずしたのは、『イージーライダー』の1シーンのマネをしているわけではなく、単に、手首がすっきりして楽だからというだけの理由。手首が意外に細いので、ベルトを大幅に縮めない限り、グルグル回って落ち着かない。だから今では、外出の時さえ携帯電話を時計代わりにしている。
時計といえば、一昨年に亡くなった2人の伯母の遺品を整理していた時、珍しい物を発見した。それは、オメガの銀製の懐中時計。蓋を開けると、内側に「1900年パリ万博グランプリ受賞」といった意味の文字が、フランス語で刻まれていた。伯母達が、意識的にそれを手に入れたとは思えない。彼女達の歳の離れた末弟である父に尋ねても、小さかったので全然記憶にないと言った。そうなると、どうしてもその謎を解いてみたくなった。そこで、与えられたいくつかの断片情報を元に、勝手に推理してみた。こんな推理は大好きなので、つい力が入る。その結果、多分それは、彼女達にとって一番歳の近い弟で、父にとっては一番上の兄、つまり私にとって伯父に当たる人物の形見に違いない、ということに落ち着いた。伯父は、大学2年の春、亡くなったと聞いている。そして、当時、東京に居を構えていた同郷の親戚宅から通学していたという。その家の主が、それなりに名の知れた人だというのも、何となく耳にしていた。改めてネット検索すると、政府関係の要職で大正時代に数年間、フランスに駐在していたということもわかった。まさか、近い親戚にそんな人がいるなんて、思いもしなかった。多分、その時に買い求めたものを、後に、伯父の入学記念として与えたと考えるのが一番妥当な線だろう。唯一引っかかるのは、駐在していたのが1900年のパリ万博より何年も後だったということ。それで、さらに調べてみると、その刻印は万博の後、数十年にわたって使用されていたということが判明した。それなら辻褄が合う。私の推理に対し、父も、珍しく全面的に納得していた。
このようなことを考えると、ただの時計でも、それにまつわる様々な人々の思いや歴史が伝わってきて、とても重く感じられる。今はもう動かず、ボロボロの小さな古時計なのだけど・・・。
ところで、去年の「Not Fade Away」に続き、今年も「time」関係のタイトル・ソングを選んでみた。でも、相反する両タイトルのどちらを信じるべきなんだろう?