Mountain Jam/The Allman Brothers Band

先日、F1で前代未聞のトラブルの元となったミシュランといえば、タイヤの他にホテルやレストランのガイドブックで有名なのは誰でも知っている。でも、貧乏旅行専門の私には縁がなかった。それでも、1度だけ星付きのレストランに行ったことがある。場所はミラノ。今でこそ、この地名を聞くと、ACミランのことが真っ先に浮かぶけれど、その頃は、セリエAのことなんて何ひとつ知らなかった。
気ままな1人旅では、前もってホテルの予約なんかしない。気に入った駅で降りて、観光案内所で安ホテルを紹介してもらうのが定番(もっとたくましい人は、バックパックを担いで、街はずれのユースホステルまで足を延ばすのだけれど、私はそこまでタフじゃない)。なのに、ミラノに着いた日に限って、何かの会議の最中で、ほとんどのホテルが満室だった。それでもどうにか確保した後、街を散策していたら、同世代の日本人の若者3人組に遭遇した。彼らもホテル探しに奔走していたので、手伝ってあげた。2人は大阪のイタリアン・レストランの料理人(「cook」のことを誤って「コックさん」だなんて、私にはとても言えない。赤面する)で、舌を肥やす修業のため、食べ歩き旅行中だった。もう1人は、街頭でたまたま彼らと出会って合流したらしい。イタリア人の知人がミラノに近郊に住んでいるという。その場の話の流れで、みんなで1ツ星レストランに食事に行くことになった。私にとって、これは願ってもない機会!1人の食事は、いつも手軽な所ですますか、テイクアウトばかりだったから。しかも、イタリア人の知人も来るというので、言葉の心配はないし、料理人が2人もいるので、お店の選択もきっと間違いない。一応TPOを考えて、ちゃんとワンピースに着替えて出向いた。合流した女性は、情熱的なラテン美女ではなかったけれど、とても面倒見が良く、メニューについてあれこれ説明してくれた。ただ、その時何を食べたのかほとんど記憶にないのが残念。唯一、デザートだけは、生のピーチをベースにしたもので、上にミントの葉がのっていたことだけ覚えている。
しかも、その女性は、それから数日間私を家に泊めてくれた。その旅の間に、ホテル以外のところに泊まるのはその時だけだった。お手伝いさんもいる豪邸で、旅行中の両親の豪華な寝室を提供してくれた。
ピーチといえば、先日の夕方、電車の窓から見えた山にかかる真っ赤な夕陽は、まるで『Eat A Peach』のジャケットにソックリだった。この前は『Caravanserai』みたいだったのに。所変れば、眼に映る光景も異なる。