Cruel Sister/The Pentangle

母親が大阪にやって来た。また新たに相続上の書類に押印が必要とのことで、そのために私たち三姉弟が個別に帰省するより、母がこちらにやって来る方がてっとり早いからとのことだった。お昼前に私1人が、最寄の駅で母と合流し、軽い食事をとってから妹の家に向かった。大阪市内のど真ん中の高層マンション6階にあるので、交通の便も良く、集合場所には最適だった。でも、数年前にそこに引っ越してから、私が訪問するのはこれでようやく3度目。物が捨てられず、部屋中大変なことになっている我が家とは違い、「捨て魔」の妹宅は、信じられないほどスッキリと片付いている。とにかく、趣味も好みも性格も顔も正反対に近い。彼女は、中学・高校の6年間、無遅刻・無欠席・無早退という偉業まで成し遂げた。私なんて、映画を見に行きたいからといって、午後の授業をサボったり、苦手な歌のテストや体力測定のある日には、自らに暗示をかけて意識的に体調を悪くして、まんまとそのいやな課題から逃れたこともあった(断じてズル休みではないけれど・・・)。それに、私がバカにして忌み嫌う血液型性格診断を、妹は盲信している。それによると、B型の彼女は「型にはまらず、独創的で奔放」と自己解釈しているらしい。どうみても、几帳面でコツコツと真面目なタイプなのに・・・。似ているのは、どちらも小柄なことと声質ぐらい。そのため、よくぶつかって壮絶なケンカをすることが多かった。しかも、子供の頃からいつも私が負けていた。にもかかわらず、妙に波長が合う時にはあきれるほど仲が良く、頻繁に行動を共にしたり、何時間も電話でしゃべったりしている。姉妹というよりむしろ、扱いにくいけれど、どこか気になる友人のよう。これは妹に限らず、亡父を含めて、家族全員に言えることかもしれない。でも、子育ての大変さを全然味わったことのない私が、両親のことまで「友人」扱いするのは失礼かも。
ちなみに、妹の話題でこんなタイトル・ソングにすると、誤解を招きそうだ。Dylanの「Oh Sister」にしておけば、無難だったかも。でも、それならありきたりすぎる。
学生時代の休暇中に、実家でPentangleを聴いていたら、妹に「今流れている曲、なんていうの?」と尋ねられた。「Cruel Sister」と答えたら、歳の離れた彼女は「狂えるシスター」だと勘違いして、「何て怖い曲なんだろう!」と思ったという「笑える」ようなエピソードがある。確かに、歌詞は彼女の言う通り、とても怖いけれど、少なくとも、私はそこで歌われているような残酷な姉ではない。