Charlie/Peter Mulvey

明け方、涼しいどころではなく、あまりの寒さに眼が覚めた。台風が近づいているせいか、開けたままの窓から、冷たい風がビュービューと吹き込んでいた。脇に押しやっていた布団に、急いでくるまった。ここ数年、真夏に、こんな気分を味わえることなんて1度もなかったので、妙に感動してしまった。起床後も、雨はまだ降っていないけれど、風だけは相変わらず吹き荒れている。そして、肌寒ささえ感じられる。仕事部屋のエアコンが壊れて、途方にくれていた矢先、急にこんなことになるなんてツイている。エアコンなしで、このまま何とかこの夏を乗り切れないものだろうか。ちょっと軟弱な精神を鍛えるという意味においても、ぜひ、チャレンジしてみたい。それに、引越しの時に取り外しすることによって、コンプレッサーに不具合が出たりするとも聞いたので、今さら買い換えるのも怖い。
ところで、昨日注文したCDの中には、9月に約10年ぶりにリリースされるCharlie Sextonのニュー・アルバム『Cruel & Gentle Things』の予約も含まれていた。2年ほど前にDylanのサポートを辞めて以来、このところ、Edie BrickellやShannon MacNallyなど、女性アーティストのプロデュース業を中心に、裏方に回っていた感もあるけれど、いよいよ本腰を入れて活動することになったのは、本当にうれしい。今回は、何から何までほとんど自作自演というマルティ・プレイヤーぶりを発揮しているという。楽しみでたまらない。前にも書いたことがあるように、彼がティーンエイジャーでデビューして、日本でアイドル扱いされていた頃は、単に「ただのアイドルにしておくにはもったいないほど綺麗なコ」という印象しかなく、レコードを聴いてみるには至らなかった。ミーハー向きマスコミがこぞって特集を組んでも、せいぜい立ち読みする程度。ただ、そういうマスコミで持ち上げられる男性アイドルは、たとえファッションやヘアスタイルを派手にしていても、よく見れば、どこにでもいそうな平凡な人が多いのに対し、Charlieだけは正真正銘の美形だったのでかえって浮いていた。だからこそ、「わざわざそこまでしなくても・・・」と気の毒に感じていた。そして、本気で好きになったのは、これまた何度も断言している通り、『Thelma & Luoise』の映画で、アイドルという忌まわしい(?)過去を捨てて、本来あるべき姿に戻っているのを発見してから。それ以来、ずっと地道に活動しているのに、日本では今も「ああ、あの元(?)アイドルの・・・」と言って軽んじられることが多いのは実に不本意