Summertime/Big Brother & The Holding Co.

昨日に引き続き、今日も涼しく感じる。ニュースによると、台風がそれてしまった関東地方では猛暑だというのに、こちらは30℃を切っている。エアコンを買い換えないことを決めてから、新たにもう1台扇風機を買ってきたけれど、今のところそれで充分。もし、去年のように35℃を超す猛暑が続くことになったら、その時は、寝室に避難すればよい。その部屋のエアコンはまだ健在だから。そう思うと気が楽になる。
そういえば、今よりずっと平均気温が低かった幼稚園の頃、初めて我が家に届いたエアコンはちょっとへんてこなものだった。厳密には「エアコン」などと呼べる代物ではなく、最近よく見かける冷風扇のようなものだったと思う。形はエアコン風で、ちゃんと室外機もついていたけれど、冷たい井戸水を自動的に汲み上げて、冷やした空気を送るという原始的なものだったから。そのため、1〜2年もしない間に井戸が干上がって、全然冷えなくなった。そうなると、やたらと場所をとる扇風機でしかなかった。何しろ、タテ・ヨコ・高さがそれぞれ、60×100×80cmぐらいあったのだから。それでも、しばらくの間、巨大な立方体扇風機として部屋の中にで〜んと居座っていたのを記憶している。それどころか、お役目ご免になった後も、庭の片隅に置かれ、そこに腰かけて遊んだりしていた。
いわゆる家電は、幼稚園から小学校に上がる頃にかけて、大きく飛躍したように思う。一番古い記憶の扇風機は、ブリキ製で羽根が回転するたびにバタバタとうるさいものだった。冷蔵庫は、その頃すでに電化されていたけれど、使わなくなった氷冷式(というのかどうかわからないけれど、電気ではなく大きな氷を入れて冷やすシステム)の物もしばらく残っていたのを覚えている。いつのまにかなくなったと思ったら、近所の人にあげたということだった。そうえいば、家の近くに氷屋さんというものがあり、その前を通るたびに、氷をノコギリで切る、あの拷問のような音に耳をふさいだものだった。
洗濯機も、もちろん二層式で、今となってはなつかしい、手回しによるローラー状の脱水機能がついていた。そして、その横には、やはりたらいと洗濯板もまだ残っていた。電話もまた然り。なつかしの黒電話であるのはもちろんのこと、ダイヤルさえついていなかった。それじゃ、どうやってかけるのか?受話器を外すと、交換手さんが出て、かけたい番号を口頭で伝えた。
涼しい日が続くと、夏でもまだそれほど暑くなかった時代に戻ったような気がして、ふとあれこれなつかしんでしまった。